ふたり

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樹「一年か…。早ぇな。」

北「忙しいのにごめんな。お見舞いありがと。」




病院のベッド。


朝になれば起きてきそうなくらい綺麗な顔して眠ってる君は、
この一年もうずっと目を覚ましていない。



一緒に住んでた部屋も、君が選んだ家具もずっと同じ。


君が帰って来ないまま、
俺たちだけを残して季節は一巡してしまった。






一年前のあの日、


俺のせいで…








あの日、

ちょっと遠出しようと珍しく出掛けたデートの帰り道で





北「あのさ、結婚しよう。」





何の脈絡もなくしれっと言ったように見える俺に、
君はお皿みたいに目をまん丸にしてた。





『は、い…。』





真っ赤な顔して微笑む君に全身の力が抜けちゃって。



だって俺すげー緊張してたから。


今日こそ絶対言おう、って
一日中タイミング伺ってたから。





緊張の糸が切れて、かっこわるくも震えまくる手で
君の左の薬指に婚約指輪をはめて。

結婚指輪はこれに合うものを選ぼうね、って



少し先の予定を立てて…


人生最高の日になるはずだった。







「ああああああああああああ」





ただ事じゃない叫び声にびっくりして振り向くと、
明らかに目がいっちゃってる男が
刃物を振り回しながら一目散に俺へ向かって走って来る。



やばい、



そう思ってるのに体は全く動けなくて。



一生守るって誓ったばかりなのに、って
何もできず死を直感したときだった。





『ほっくん危ない！！』







刺されたのは

俺を庇ったAだった

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