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カラン、と聞きなれたベルの音が鳴り、俺が入店したことを告げる。
「いらっしゃい。...おお、A君か。なんか一段と疲れた顔をしてるな?」
『...ちょっと、色々会ってな。めっちゃ疲れてるんだよ。...今日はパンとビーフシチューで、ワインで。』
「あいよ。ワインはいつものでいいのか?」
うん、と答え、頬杖を付いて注文したものを待つ。
ワインが出てきた時、ベルの音が鳴った。
何となく視線を向けると、黒髪が揺れていた。
知り合いで、ここで会った時は一緒に呑んでいる。
??「お、A君久しぶりぃ。最近忙しくて、てか夕方も忙しくてなぁ。まぁ、それで一段落つけれたから来てん。...て、A君も疲れた顔しとんな?」
『ホントに久しぶりだね、シャル。お疲れ様。...それ、お互い様だけど、さっきおっちゃんにも言われた。普段しない事したからかなぁ。』
ふぅん、とシャルことシャルル(以下ch)は煙草に火をつけなかがら返事をした。
『うわ、煙草の臭いつくじゃん。やめて。』
ch「んな事言わんでや。仕事さっさと切り上げる為に吸ってなかったんから。」
『...余程集中してたんだな?珍しいじゃん。』
ch「それ、仲間にも言われたわ。お前本物か?!もっと尖れ!って。」
いや、尖れってなんだよ、とか笑いつつ話していると、俺の頼んだビーフシチューが来た。
シャルは軽く食べに来ただけらしく、パンとコーヒーを注文していた。
俺はビーフシチューをを食べ、たまにパンも口に運んだ。
その間も二人で話していた。
いやぁ、それにしてもホントにおっちゃんの料理上手いな。
『おっちゃん、俺に料理教えてよ。』
「教えないって言ってるだろ。」
『ちえ、ケチだねー?...シャル〜、また振られたわぁ。』
ch「でも、A君も料理出来るんなら、充分ちゃうんの?」
『おっちゃんの料理が教わりたいんだよ。教えなくても雇ってって言っても振られたし。』
口を尖らせ、不服そうにしつつも、最後の一口のシチューを食って、ご馳走様、と。
「そういえば、A君はご馳走様って言うけど、それは何処かの言葉か?」
ch「せやね。確か、東の島国ちゃうかったっけ。仲間に教わったわ。」
『...あぁ、俺も知り合いに教わったんだよ。それから癖になって。』
話しながら席を立ち、会計を済まして外に出る。
外で待っていたシャルが何やら話していて、俺を見ると笑った。
ch「じゃ、行こっか。」
は?
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作者名:ゆとは | 作成日時:2018年12月30日 17時