純情ブルーローズ【佐野玲於】

涙 ページ48

Aside









真希「 あれ？A！」





私に気づいて、哲さんと握ってた手を離してこっちに走ってくる真希さん


追っかけてくる哲さん






真希「 こんばんは 」


玲於「 こんばんは 」


真希「 …彼氏？」




玲於くんに挨拶してから小声でそう聞いてきて




A「 …違います 」


真希「 違うのか〜 」


A「 あの、おふたりは… 」






聞きたくない



聞きたくないけど聞きたくて

二人に話を振れば顔を見合わせて、照れ笑いして






哲「 実は、付き合っててさ。」


真希「 ふふ、そういうことです。笑 」








…いつから？


なんで？どっちから？最初から両思いだった？



聞きたいこと、知りたいこと

たくさんあるのに全然言葉にならなくて




その代わりにこみ上げてくる涙


だめ、今は泣いちゃだめ






大好きな先輩達が幸せそうに笑ってる前で

私に幸せな報告をしてくれたのに



絶対、絶対泣いちゃだめ








A「 よかったですね！ふたりとも。笑 」






必死に涙こらえて
笑顔で言うにはこれが精一杯






真希「 ありがとう！」


哲「 気とか使うなよ？A。笑 」


真希「 そうだよ！また三人でご飯行こう！」


A「 はい！」


玲於「 じゃ、俺ら失礼します 」








私の手首をもって走り出す玲於くん




もう、すぐそこまできてた、涙

一気に溢れ出してきて

走れば走るほどこぼれてきて



余計に息が上がって





風も、頬を伝う涙も冷たいのに

手首だけ、温かい







玲於「 ごめん、痛かったよね 」





しばらく走って立ち止まった玲於くんは、

私の手首から手を離してそう言った





全然痛くなかったよ

玲於くんが私のペースに合わせてくれたから


ありがとう、本当にありがとう





そう言いたいのに

涙が邪魔して声が出なくて





優しく頭をなでて、いつもみたいに背中さすってくれる玲於くんの胸の中で

泣くことしかできなかった








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