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TH「誰がやったの?」
『そんな言い方』
TH「俺の知らない、誰が開けたんですか?」
丁寧に言い直すの、凄く嫌味な響きで眉を寄せてしまう。
その暴走しがちな独占欲が、理解できなくて怖かったな、て私の中ではまるで終わったことみたいに思い出せて、寄せた眉を解いた。
『ホソクさんの友達の、スタイリストさんに開けてもらいました』
嘘は言ってない。
ジョングクさんのことは、言う必要もない。
TH「…Aは正直で言い訳が上手で、嘘が下手だね」
耳に指を当てたまま、テヒョンさんが私をなじる。
TH「俺で、もう動揺したりしないんだ?
…それと。
一体誰を庇ってるの?」
脈絡が無さすぎて、反応が遅れた。
テヒョンさんはもう一方の腕も伸ばして、両手で私のうなじを抱えるようにして、私をテーブルの真ん中まで強引に引き寄せられる。
がちゃん、てコップが音を立てて倒れたけど、テヒョンさんは気にせず、私の視線を逃さないようのぞき込んできた。
『テヒョンさん、ちょっと…っ』
抗議の声をあげたのに、テヒョンさんはそんな私を見つめてひどく悔しそうに、形の良すぎる唇を噛んだ。
TH「やっぱり、そうだ。A、この距離全然平気でしょ?」
至近距離の、美しい顔。
『平気なわけ、ない』
正直に答えたのに、嘘吐き、って切り捨てられた。
TH「俺が近寄りすぎたら焦って、慌てて、慣れないからって赤くなってたAはどこに行ったの?
誰が、
Aを慣らしたの?」
なんて勘の良さ。
私は思わず息を呑みそうになったのを、ぐっと堪える。
それからテヒョンさんの言葉で、ちらりと脳裏によぎったジョングクさんを、ぎゅっと瞼を強く閉じて、追い出した。
TH「今思い出した奴?
Aの肌を舐める以上のことを、したのは誰?」
動揺するな、私。
TH「サブマネ、辞めた理由。
そいつが原因なんだよね」
確信つくな、馬鹿。
『テヒョンさんには、関係ない』
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作者名:フネ55 | 作成日時:2023年3月27日 6時