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目の前にいるのは、俺の好きな女の子なんだって、思ってたからこその行動だった。
でもそんなの何一つ言い訳にもならない、一つも挽回の余地なしで、俺、有罪確定で。
てか俺はほんとに、自分の感情をコントロールすることを割と簡単に、手放しがちなもんだから。
Aの目を見た瞬間に、ほんとやらかした、て耳の裏でざっと血の気が引く音を聞いた。
慌ててAの上からどいて、Aが怯えないくらいの距離を取って。
それから震えるほどの怒りで唇歪めてるAを刺激しないように、なんとか謝罪をしようと口を開いた。
「ごめん、ほんとそんなつもりじゃ」
『テヒョンさんを断ったから?』
「…え?」
なんで、テヒョンイヒョンが出てくんの。
『あなたの大切なテヒョンさんを傷つけたから、だから?こんなことするんですか?』
想像のはるか彼方の、誤解。
Aの傷付いた目も、悔しそうな唇も、何もかもが間違ってる。
そうじゃない、俺は、
「違う!ヒョンのこととは関係ない」
きっぱり言うけど、Aは鼻に皺寄せて、じゃあ何、て声に出さずに俺に問うから。
情けないけど、本音がぽろっと口から落ちた。
「俺が、開けたかったから。他の誰かにさせたくなかったんだ…俺、お前が、」
好きだから、の言葉は言わせてもらえなかった。
『やめて』
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作者名:フネ55 | 作成日時:2023年3月27日 6時