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C「お疲れ様〜」
チョンホさんに迎えられて、私もプライベートジェット機内に合流した頃には、メンバーの皆さんは各自の席でくつろぎ始めてた。
プライベートジェットなんて初めてだから、ついあちこち見たくなるのをぐっと堪えていたら、最近よく一緒にいることが多いチョンホさんにはバレてたみたいで。
C「いいよ。あちこち見てきたら?」
って言うから、ありがたくちょっとだけ探検モードになった。
写真では見たことあったけど、実際の機内設備、ほんとすごかった…例えるなら、パーソナルスペースが充実の小洒落たカフェと言うか…
2時間にも満たないフライトには贅沢としか言いようがないけど、さっきの空港の様子見てたら機内も似たりよったりなことが起きるんだろうし。
…きっと過去、起きてたんだろうってのは、わかるよ。
ちらっとテヒョンさんが居るシートを見たけど、目を閉じてじっとしてる。
私は機内を興味深くうろうろしつつ、テヒョンさんが気になってちらちら見るけど、イヤホンで音楽聞いてるっぽい。
話しかけたら邪魔かなって、ためらったのは、一瞬だけ。
『テヒョンさん』
音楽で私の声が聞こえなかったら、それでいいと思って名前を呼んだ。
そしたら、まるで待ってたみたいに自然に目が開いて、私を見上げた。
ぱかって開いたそれは、何の感情も映してない、ただ綺麗なガラス玉みたいな黒い瞳。
私を見る時は、いつももっと光がいっぱいで、ちょっと風のある湖畔みたいな色してるのに。
あ、やばいすごく心配。
何、って無言で目線だけで聞かれて私は、そう言えば何話すか決めてなかった、ってうろたえた。
『あっ、あー…あの、だ、大丈夫かなって…』
私の馬鹿。
大馬鹿。
他に言いようあったでしょうが…!
普通に心配で声かけちゃったから、仕事用の口調もどっかに落っことしたし。
テヒョンさんのさっきの姿を、どう思ったのかまで伝わっちゃう言い方して、余計に傷付けたらどうすんの。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2023年1月30日 20時