◆You◆ ページ41
『…た、たあ…!』
咄嗟にお礼とさよならの意味で、車内でお辞儀をしてしまったら、そこにドアの膝置き部分がヒットした。
目から星が出るくらい痛くて、しばらく一人頭抱えて悶絶しつつ、ジョングクさんの言葉をじんわり思い出す。
- 行けるとこまでやってみたら? -
すごくシンプルなアドバイス。
きっと他の人でもできるってくらいの。
でも、私の状況を知ってて、それでもこの言葉を言えるのは、やっぱりジョングクさんしかいなかった気がする。
テヒョンさんがどうとかじゃなくて、
ビッグヒットの採用試験を受けるって決めたのは私自身の選択だから。
それなら、
私はここで。
できるだけの仕事をするだけなんじゃない?
ジョングクさんもテヒョンさんの行動に関しては、何も言うこと無いみたいだった。
つまりテヒョンさんが私を好きとか、それを周りが後押しするとか、そういうのはまあ、社内恋愛OKな会社なんだと割り切っていいのかもしれない。
アプローチにどう応じるかは、私次第だよって、選択肢を委ねてもらってるのかもしれないし。
うん。
皆、悪い人じゃないから、きっとそう。
ジョングクさんのせいで頭は物理的に痛いけど、お陰で気持ちはクリアになった。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2023年1月30日 20時