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今生き残るために、
前だけ見て全力で走ってるって感じ。
なんとなく伝わったから。
「それで無理なら、やめたらいいじゃん」
嫌いじゃないよ。
その感じ。
『えっ』
「あんたががんばった結果それなら。誰も責めたりしないと思うよ」
そう言ってまとめたら、もう寄宿舎の前だった。
俺が車を降りる準備してたら、俺の言葉を熟考してたっぽいAは、さっきまでの情けない顔じゃなくて、何か確かめたい顔してた。
目の中に、光がたくさん入る感じの、前向きな。
うん、そっちの方がいいんじゃないの?
あんたらしい、気がするし。
『…ジョングクさんも?』
何?
それ、気になんの?
「は?俺?」
「何言ってんの?めちゃくちゃ責めるよ。
俺らのペンになったとか言ったくせに、手に負えないから放り投げるなんて。
口だけの、
最低な、
負け犬だって。
そりゃもう端から浴びせ倒すね」
『わあ、わざわざいつものスラングじゃなくて、私にもわかる言葉で言ってくれて、ありがとうございまぁす』
ほとんど棒読みで、お礼を言って頭下げたAに、今度こそ俺は心の底から声出して、笑ってた。
「じゃまた、明日」
降りてきた運転手の人がハイヤーのドア開けたから、俺はサッと外に出て。
何か言うとしてるのか、こっちよって来てたAに、へって鼻で笑ってやってから、俺は自分で勢いよくドア閉めた。
そしたら車内から
『痛い!』
て聞こえたけど、聞こえないふりした。
あー、愉快。
マネヒョンとメンバー意外と一緒居て、こんなに楽しい気分になったの、ちょっと久しぶりかもね。
だから、
「まあ、いても、いいんじゃない?」
って。
走り去るハイヤーの後ろ姿に、ぽつりとそう言ってやった。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2023年1月30日 20時