◇JK◇ ページ39
俺に相談するの心底情けないって思ってるのか、少し弱気な感じで抑えがちなの声なのに。
それでも俺に絶対に伝えるって強い意思を持った、揺れること無い真っ直ぐな言葉。
でもその顔が。
めちゃくちゃ嫌そうな、でも抵抗できないって悔しそうな、あやういやつで。
ぞくぞくぞくって、
足元から内臓にかけて一気に駆け上がって、
ぶるっと胃の腑を震わせた感情は、
どちらかというと征服欲に近かった。
今すぐ、
その細くて小さな肩を引き寄せて、
もうちょっと踏み込むようなことしたら、
どんな顔するんだろうって。
それこそガキくさい、ただの征服欲。
「何その、情けない顔」
よっ、て感じで無意識に詰めてた距離を、適正な位置まで戻して。
ばしっとその顔に手のひら叩きつけた。
『ぎゃんっ』
加減したけど痛かったらしい声がして、俺はくつくつ笑ってしまう。
この顔見て沸いた欲求は、けっこう心地いい感覚だけど。
別に好きでもない女、しかもテヒョンイヒョンが好きな相手に軽々しく手を出すようなバカなこと、したいと思うわけないじゃん。
それにそもそも、ヒョンに軽い気持ちで応えたりするような真似した、Aの浅はかな行動の結果がコレだと思うから、同情もしない。
「仕事、やめんなよ」
だってあんた、ほんとは短絡的なガキで、全然大人なんかじゃないのに。
「がんばって、ここ入れたんでしょ。なら、行けるとこまでやってみたら?」
ほんとは嫌だけど、必要なら苦手な俺にも助けを求めてくる、その感じ。
歯食いしばって、そのほっそい足で荒れた道を踏み締めて、目の前のやれること、できることはとりあえず端から全部やってってんの?って。
まあ、浅はかなんだけど。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2023年1月30日 20時