◆You◆ ページ37
いきなり、て言って良いくらい唐突に、ジョングクさんに顎掴まれて、そちらに顔を向けさせられた。
大きな手は私の頬までぐにっと掴んでて、私はすごく変な顔させられてると思う。
人が真剣に話してるのにからかうつもりのかと思って、眉に力が入った。
視線が合って私は睨むように見返したのに、予想してたのと違って、ジョングクさんの目は優しくて拍子抜けした。
私を嫌いじゃ、なかったの？
思わず視線で問いかけたら、頬掴んでる手が狭まっていくのを感じて、焦る。
『ちょ、やめ』
ぶにっと完全にアヒルかそれよりもみっともない生き物の顔にされてると思う。
あと力加減適当すぎて痛い。
「ブス」
『んん？何だと？』
何て言われたのかわからないけど、この状況で発する単語なんか決まってる。
ブスか、ブスに近い言葉でしょ？
わかってんだよ。
『覚えましたからね、今の。後で調べてやる…て、も離して！痛い…』
手を掴んで引き剥がそうとするのに、全然びくともしない。
顔背けて逃げようとしたら、シートの距離詰めて、至近距離から覆い被さるようにしてきた。
『…何、ですか？』
なんかこの感じ、雰囲気こそ違うけど、いつかのジンさんを思い出す。
この人たち、他人との距離感バグってるのは共通なのね。
「頼りたい俺に、そんな態度なの？間違ってない？相談乗って欲しいんでしょ？」
って、物凄く人の悪そうな、人によってはセクシーだって思うんだろう、すごく嫌な目つきでそう言われた。
「言ってよ。
どうしたらいいか、教えてくださいって」
最高に、意地悪な笑顔。
あっ、この人、
人の弱味にめっちゃ付け込むタイプだ。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2023年1月30日 20時
