◇ ページ19
グクは、ふう、ってため息を一つ吐いてから顔を伏せて、ちょっと唇を噛んで、言いたくないけどしょうがないから言うんだよ、ってよく見るポーズで口を開いた。
JK「…俺は、ただ。俺にも、話して欲しかった…だけです」
JK「それが、どんなくだらないことでも。ヒョンに関わることなら、俺にとっても大事なことなんで…」
「…グク…」
グクは、俺にいろんな感情をこじらせてるのを知ってる。
憧れだったり、同一視だったり、癒着した愛着の煮凝ったものだったり。
俺も似たようなものをメンバーには持ってるから、特にその点気にしたことはないけど。
でも、Aに関しては、正直そっとしておいてほしい。
理由は、まあ。
Aを大事にしたいから。
自分のこの、ほんと自覚するくらいのピュアな恋情も、彼女のあの、俺に抱いてる複雑な好意の行く末も。
俺としては、ぜひ、恋に変えてしまうつもりだけど。
でもグクの反応見ても、周りが俺に苦笑する様子見ても。
俺はどうやら自分が思っていたよりずっと、恋愛は上手な方じゃ、ないみたい。
「なんか、ごめんな」
結果的に巻き込んだことを誠心誠意謝りながら、肩に置いた手を、グクはうなだれたまま拒まなかった。
だから俺は、首の後ろを掴んで肩を抱えるように引き寄せて、こめかみの上に唇をつけた。
そしたらグクは、ふふふ、と何か思い出したように笑って。
JK「地味に思ってる？2年も…ほんと馬鹿みたいに純情だな、ヒョン？天下のVでしょ？わざわざそんな複雑な恋、しなくていいのにね」
まあ、そうだよね。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2023年1月30日 20時
