蜃気楼*2 ページ2
*
横尾さんの言葉にスマホを落としかける。
「……え？いやいや、冗談きついってーあはは、」
『ほんとだよ』
「だってさっき、コーヒー買うって、出かけてって、」
そうだ、藤ヶ谷はさっきまで、そこにいて、
『……とりあえず、○○病院に来て、俺もいる』
「いや、えっ？ちょ、……」
さっきまで、そこにいて、……それから？
横尾さんはこんな変な冗談を言うようなやつじゃない。
それはわかってるけど、そんないきなり、死んだとか、普通、信じる？
変に冷静な頭で車のキーを握りしめて、指定された病院へ車を走らせた。
***
「横尾さんっ」
「ミツ」
病院に入り、座っている横尾さんの元へ向かう。
いつもの俺たちと違う空気が流れるのを感じ、
さっきの横尾さんの言葉が現実味を帯びてくる。
「…あの、横尾さん、」
「やっと現実味を帯びてきた？」
「いや、その……ほんとなの？俺、ほんとに、1時間くらい前まで、話してたんだけど」
「本当だよ、」
横尾さんの言葉にさぁっと血の気が引くのがわかる。
立っていられなくなってふらりと倒れそうになる俺を、横尾さんが支えてくれて、隣に座らせてくれた。
藤ヶ谷が死ぬまでに至った経緯を、ここまできてやっと冷静さを欠いてきた頭で聞く。
横尾さんが歩いていたら、救急車が止まっていて、そばには血のついた車と、血を流した人が倒れていた。
その人をちらっと見ると……太輔だった、と。
知り合いであると告げて救急車に乗り、病院に着いたところで俺に連絡をした、
つまり横尾さんは、偶然居合わせて、だからこんなにすぐに俺のところに連絡がきたのか、なんて妙に納得する。
「即死だったらしい。救急車が着いた頃には、もう、」
そこまで言って口をつぐんだ。
「…信じらんねー、太輔に会わないと、俺は信じない」
横尾さんは俺の言葉に、立ち上がって、ついてくるように俺に言った。
先生に話をして、太輔の眠る部屋に通される。
顔に白い布がかかっている。
震える手でその布をどかせば、美しい太輔の顔がそこにあった。
運良く、顔には直接当たらなかったらしい、と横尾さんが後ろでつぶやく。
左手を、太輔の頬に伸ばす。
指先が触れると、ひやりと冷たくて、思わず手を引っ込めてしまった。
「…たい、すけ」
俺の声にも何も反応しない。
太輔は、本当に、死んだんだ。
*
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しょこら(プロフ) - Hina.Tamaさん» Hina.Tama様、お読みいただきありがとうございました！！そう言っていただけて嬉しいです。｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡ (2018年7月27日 0時) (
レス) id: ef72d80421 (このIDを非表示/違反報告)
Hina.Tama(プロフ) - しょこらさん初めまして。本編完結おめでとうございます！ハラハラドキドキな展開に毎日更新を楽しみにしていました。素敵なお話本当にありがとうございました！！ (2018年7月27日 0時) (レス) id: ca7c7000b2 (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - 日美さん» 日美様、ありがとうございます！そのように言っていただけて本当に嬉しいです｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡ (2018年7月27日 0時) (レス) id: ef72d80421 (このIDを非表示/違反報告)
日美(プロフ) - 初コメ失礼します。更新お疲れさまでした。初めて更新されたときから毎回更新がとても楽しみな作品でした。とても大好きなお話です！また次のお話も楽しみにしています……！！ (2018年7月26日 23時) (レス) id: 86fe79ef6e (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - askiiii...xxxさん» ありがとうございます！更新頑張りますのでよろしくお願いします！⊂*｀∀´⊃ (2018年7月18日 10時) (レス) id: ef72d80421 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しょこら
| 作成日時：2018年7月13日 12時
