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08.F ページ8

.


“あの……”


そう声を掛けられて振り返ると

そこには先日俺が迷惑を掛けてしまった男性


息を切らし、額に汗を浮かべている





「あっ、この間のっ!!

先日は本当にすみませんでした

来てくださって良かったー

立ち話もなんですから中へ入りませんか?」





明らかに様子がおかしい彼に

さりげなく店内に入るように勧めてみる





「……でも………もう閉店ですよね?」





安心と戸惑いに揺らぐ瞳が

灯りの消えた看板と俺の顔を交互に見つめる


わかってて声を掛けてきた癖に

今更遠慮なんてする?


残念ながら、そんな顔してる人を

追い返すようには育てられていない





「全然構いませんよ?

個人経営の小さな店なんで営業時間なんて

あってないようなものですから……ねっ?」





戸惑う彼の背中に手を添える


「…………っ!?」


随分と強張るその背中は

やはり何かあったのだと言うことを

俺に告げているようだった





「いらっしゃいませ」





先日と同じ場所に腰を掛けた彼に

俺はカウンターの中から声を掛ける





「コーヒーじゃなくても良いですか?」





「あっ、はい……何かすみません……」





営業終了後という理由で

コーヒーの提供が出来ないと勘違いしたのか

申し訳なさそうに頭を下げている


俺はそんな彼にニコリと微笑んだ





ミルクパンに牛乳と砂糖を入れて火にかける





暑そうなのにホット?


そう思うかもしれない


けれども、店内の涼しさは

彼の汗ばんで火照った身体の熱を

すぐに冷ましてくれるはず


それにホットミルクには

リラックス効果があるから

今の彼にはきっともってこいの一品だ





ふっと訪れる無言の瞬間、

カップにミルクを注いでいると

片手でひっそりと自分の腕を摩る彼


エアコンの設定温度をあげつつ、

ホットミルクを彼の前に差し出した





「ありがとうございます」





俺に向かってペコリと頭を下げると

前回と同じく少し冷ますように

息を吹きかけながらカップに口付けた


2,3度コクコクと喉を鳴らした後、

フゥッ……と息を吐く





「……癒されますね」





こちらを見上げぎこち無く微笑んでいる





「ふふっ、それは良かったです」





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牡丹(プロフ) - まいまいさん» コメントありがとうございます(≧∇≦)嬉しいです!Fさんがどうなってしまったのか、続きも見守ってあげてください( ;∀;) (2021年6月15日 17時) (レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - えーん、Fさんが…ご無事でしょうか?心配です。続きをずっと待っています… (2021年6月11日 10時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
牡丹(プロフ) - puuさん» こにちは!コメント嬉しいですー(≧∇≦)誰とも交流出来なくて寂しかった(T^T)タカさん、不穏な感じですよね!藤ヶ谷さんを交えてどうなっていくのか...…( ̄∀ ̄)また見に来てやってください♪ (2021年4月20日 23時) (レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
puu(プロフ) - こんにちは。新作一気に読ませていただきました。最新話でぎゃあぁぁと叫びました(心の中で)。ドキドキしながら続きを待っております!今後の2人がどうなっていくのか楽しみです!! (2021年4月18日 15時) (レス) id: b36113747c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:牡丹 | 作成日時:2021年2月21日 10時

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