この街で

27.F ページ27

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“ここにはもう来ないようにしますね”





俺の腕の中、

そんな悲しい言葉を吐くと

ゆっくり離れていく身体


瞳をきらきらと反射させていたものが

その場に留まりきれず

ぽろり、俯き加減の北山さんの頬に

零れ落ちるのが見えた


お邪魔しましたと頭を下げ、

立ち去ろうとする北山さんの腕を

反射的にぐっと強く掴み取った





「っ……！？」





驚いた表情で俺を見上げた後、

何ですか？って優しい顔を作って笑う


平静を装うその姿が痛々しい





「もう来ないなんて、

そんな寂しいこと言わないでください」





「でも…………」





ねぇ、北山さん？


そんな風に笑わないで？


いつもの北山さんの笑顔は

光がぱぁっと広がるようで

見ているこっちが幸せになるんです


少し凹んでいる時なんかも

その笑顔を見ていると元気になれるんです


だけどね、北山さん


無理して笑っている姿を見るのは辛いです


辛い時に笑わなければいけないのは

北山さんだって苦しいでしょ？


それにね、そうやって無理を重ねていくと

いつか自分の本当の感情が

どこにあるのかわからなくなっちゃうよ？





北山さんにはそんな風になって欲しくない





苦しいのは苦しい


怖いのは怖い


それで良いんです


その感情に素直になってください


そして、ひとりで抱え込まないで

誰かに…………

出来れば僕に打ち明けて欲しいんです





北山さんの笑顔を俺は守りたい





「俺たち《友達》でしょ？」





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