25.F ページ25
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“誰かにつけられてるのかも”
そう呟くと恐怖に顔を歪めた北山さん
以前、夜に突然ここにやって来た日も
実は誰かにつけられていたらしい
「はじめからここに来ようと
思っていたわけじゃなかったんです」
その時を思い出すように目を伏せて
少し震える声で一語一語言葉を紡ぐ
「何となく嫌な気配がして……、
気のせいだと思いつつも
その気配を振り払う為に遠回りしていたら
偶然この店の近くに辿り着いて…………」
それで…………
「俺が店の前にいて
反射的に声を掛けた……と？」
「……はい…………」
俺の言葉に一瞬視線を揺らめかすと
責められるのを覚悟したかのように
きゅっと眉間に皺を寄せ唇を噛んだ
「何でその時に言ってくれなかったの？」
なるべく優しい声で問い掛けた俺を
情けない顔で見上げてくる
静かに待つ俺と北山さんの間に流れる沈黙
合わさったままの視線
開かれることのない口
すぐ隣には花の色を失った紫陽花の緑
俺の視線を追うように
その緑に視線を移した北山さん
「…………そろそろ帰りましょうか？」
家まで送り届けるか、
俺の家まで一緒に連れて帰るか、
どうするのが一番いいのか
考えあぐねてはいるものの
早くこの場から北山さんを遠ざけたかった
それなのに…………
「その時はまだ藤ヶ谷さんと
こんなに話せる関係ではなかったし……っ」
突然開かれたその口は
“それに……”と
更に言葉を続けていく
「男がそんなこと……、言えないっしょ？
か弱い女性じゃあるまいし、
大の男がビビるなんていい笑いもんですよね」
小さく乾いた笑い声と共に
自虐的な笑み浮かべている
「…………男だって、
危ないものは危ないよ？」
「…………っ」
「それに俺は、怖いものはやっぱり怖い」
確かに女性の方が力が弱く
悲しい事件に巻き込まれることは
多いかもしれないけれど
だからって男が絶対安全なわけではない
特に北山さんなんて
小柄で可愛らしい人だから
誰にどう好かれても何の不思議もない
「そんな目に遭ってるって知ってたら
帰りとかももう少し気を付けたのに」
いつもきらきら美しく光る北山さんの瞳
その瞳が今は、
街灯の光をいつになく反射させている
「ごめんね、怖かったよね……？」
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牡丹(プロフ) - まいまいさん» コメントありがとうございます(≧∇≦)嬉しいです！Fさんがどうなってしまったのか、続きも見守ってあげてください( ；∀；) (2021年6月15日 17時) (
レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - えーん、Fさんが…ご無事でしょうか？心配です。続きをずっと待っています… (2021年6月11日 10時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
牡丹(プロフ) - puuさん» こにちは！コメント嬉しいですー(≧∇≦)誰とも交流出来なくて寂しかった(T^T)タカさん、不穏な感じですよね！藤ヶ谷さんを交えてどうなっていくのか...…(￣∀￣)また見に来てやってください♪ (2021年4月20日 23時) (レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
puu(プロフ) - こんにちは。新作一気に読ませていただきました。最新話でぎゃあぁぁと叫びました(心の中で)。ドキドキしながら続きを待っております！今後の2人がどうなっていくのか楽しみです！！ (2021年4月18日 15時) (レス) id: b36113747c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：牡丹
| 作成日時：2021年2月21日 10時
