19.F ページ19
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幼かったこともあり俺は
比較的早く家族の輪の中に溶け込んだ
けれども、心の何処かでずっと
祖父母の家が自分の本当の家だと
思い続けていたんだと思う
俺は中学受験を希望し、
無事その中学校に合格すると
学校に通うのが楽だからと
尤もらしい理由をつけて
再び祖父母の家に引っ越した
中学生ともなると色々難しい年頃だけれど
昔ながらの常連さんは
変わらず俺を可愛がってくれた
渉は中学に入ってから知り合った友人で
俺がくだらないいじめの対象になったときも
変わらず傍にいてくれた
人付き合いは得意な方ではなかったけれど
高校に行っても大学に行っても
社会人になっても
渉との交友関係は変わらなかった
社会人と言えば、
俺は初めからここで働いていたわけではない
大学卒業後、就いたのはIT業界だった
職業柄、夜遅くまで働くことが多く
俺はこの家を出てひとり暮らしを始めた
黙々とパソコンに向き合い
モノを作り上げるという仕事は
性に合っていた
でもそれは、5年前、
祖父が亡くなるまでのこと
祖父が他界すると
この店を閉めるという話になった
この場所を無くして欲しくない
勿論そう思った
けれど、そう主張するだけでは
このままでは店が無くなるという現実を
変えられないことはわかっていた
人と関わることが下手な俺が
祖父が経営していた店を継ぐというのは
とても大きな決断だった
“たいちゃんなら出来るよ”
“たいちゃんが続けてくれたら
おばちゃん毎日でも通っちゃうよ！”
“太輔の好きにしていいんだよ
私は『ここを残したい』そう言ってくれた
太輔の気持ちだけ幸せだから”
俺の決断は、昔からの常連さんと
祖母の言葉があったからこそだった
祖父の時代はBarとしても営業していたこの店
店の名前の『キール』は
祖父が命名したものだった
『キール』の名前の由来は
同じ名前の赤い綺麗なカクテル
カクテル言葉は「最高のめぐりあい」
夜の店に偏見は全くないけれど
人見知りの俺には酒の席の提供は
難しいとわかっていた
だから、祖父たちの想いはそのままに
俺は『Cafe キール』として
ここをカフェのみの店として
リニューアルオープンさせた
「未だにカフェ慣れないけど……、
こうやって素敵な出会いもあるしね」
精神的に張り詰めてることが多く、
眠れない体質になってしまった俺だけれど
健やかに眠る北山さんを見ていると
今夜はゆっくり眠れそうな気がした
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牡丹(プロフ) - まいまいさん» コメントありがとうございます(≧∇≦)嬉しいです！Fさんがどうなってしまったのか、続きも見守ってあげてください( ；∀；) (2021年6月15日 17時) (
レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - えーん、Fさんが…ご無事でしょうか？心配です。続きをずっと待っています… (2021年6月11日 10時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
牡丹(プロフ) - puuさん» こにちは！コメント嬉しいですー(≧∇≦)誰とも交流出来なくて寂しかった(T^T)タカさん、不穏な感じですよね！藤ヶ谷さんを交えてどうなっていくのか...…(￣∀￣)また見に来てやってください♪ (2021年4月20日 23時) (レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
puu(プロフ) - こんにちは。新作一気に読ませていただきました。最新話でぎゃあぁぁと叫びました(心の中で)。ドキドキしながら続きを待っております！今後の2人がどうなっていくのか楽しみです！！ (2021年4月18日 15時) (レス) id: b36113747c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：牡丹
| 作成日時：2021年2月21日 10時
