この街で

16.Ki ページ16

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「ﾝｯ………ｯ…………」





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闇の奥、そこから真っ直ぐ伸びる腕


首にﾋﾝﾔﾘとした指先が絡みつく


ｷﾞﾘｷﾞﾘと少しずつ強くなっていく力





“やめろ………っ”





言葉にならない声


抵抗しようにもなぜか力が入らない


高まる恐怖心


何も見えなかった暗闇の先には

口端を歪ませた男の姿


笑って……る？


口元以外見えていないはずなに

恍惚とした表情で俺を見下ろしているのが

何故だかはっきりとわかった





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“……北山さんっ！北山さんっ！？”





遠くに聞こえる俺を呼ぶ声


闇の中に浮かぶ男の姿は

その声に掻き消されるようにいなくなった





「北山さんっ！？北山さんっ！！」





闇だけが広がる世界


安堵も恐怖もない闇の中に

はっきりと届いたその声


次の瞬間、

真っ暗な世界に一筋の光が射し込んだ





「北山さんっ！？」





その光が一面を覆ったと思ったら

眼前には眉間に皺を寄せた藤ヶ谷さんの姿





「藤ヶ……さん……？」





なんでそんな顔…………？


身体を起こそうとしてはじめて、

俺が藤ヶ谷さんの腕に

抱き抱えられていたことに気が付いた





「あれ……？すみません……俺……」





ｷｮﾛｷｮﾛとあたりを見渡してやっと、

ここはカフェの2階だったと思い出す


リビングのテーブルのところで

気付いたら…………寝てた？


でも、藤ヶ谷さんはなんで

そんな心配そうな顔してんの？





「……大丈夫ですか？」





「…………へっ？」


あぁ、俺、さっき……

カフェで失態晒しちゃったんだったっけ？


「あっ、ありがとうございます！

休ませて貰ったおかげでもうすっかり！

いつの間に寝ちゃってたみたいで……

何かすみませんでした」


へらっと笑って藤ヶ谷さんに礼を言うと

一段と深くなる眉間の皺


…………へっ？何！？


藤ヶ谷さん、怒ってらっしゃる？


ここで寝ちゃまずかった？？


でも、遠慮せずゆっくり休めって……


遠慮せず休み過ぎたっ！？？？





「あの………ホントすみません……」





閉口してしまった藤ヶ谷さんとの間に広がる静寂





「…………藤ヶ谷さん？」





これでもだんまりとか

マジでどうすればいいのかわかんねぇよ





「……本当に大丈夫ですか？」





寝てしまったせいか

何だか身体が重だるい気がするけれど、

そんなん別に…………





「すごい魘されてたから……心配しました」





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