相澤先生の寝袋 [ヒロアカ] (ページ35)

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相澤先生の寝袋体育祭ページ35

騎馬戦が終わり、最終トーナメント進出のメンバーが決まった。

1位・心操・Aの普通科チーム
2位・轟チーム
3位・爆豪チーム
4位・緑谷チーム

以上4チームが1時間後にステージ戦に挑むことになった。

そして、それを控え室のテレビで見ていたAの姿はもうなかった。

Aは、実況席で寝ているであろう相澤のもとに急いでいた。

速攻で実況席まで行き、ドアを開けるとやはり相澤は独りテーブルに突っ伏して寝ていた。

『先輩っ！ただいまっス！！』

相「…Aか
何しに来た」

マイクの音源コードは予めきってあるのを確認したAは、朝食ぶりの相澤とのやりとりに思いっきり感動していた。

『お弁当、一緒に食べましょ！』

作ってきたお弁当を両手に、Aは相澤の隣の椅子に座った。

相「そんなもん、若い者同士で食ってこい
俺は寝る」

机に突っ伏したままの相澤に、Aは少し心配になった。

『…先輩、昨日の夜、怪我痛んで寝れなかったんスか？』

相「そんなんじゃない、大丈夫だ
だからお前は皆と昼飯を済ませてこい
その姿でいられるのも今日限りなんだから、せめて楽しんどけ」

相澤は顔を上げずにボソボソと話しながら、Aをなんとか生徒達と一緒に昼飯をするように言った。

相澤の微かな歯切れの悪さをAは感じ取っていた。

『先輩、この姿で隣に居られるのは嫌ですか…？』

相「ちがう、なんでそうなるんだ」

相澤はやっと顔を上げて、少し慌て気味に訂正した。

『うん、分かってます
先輩は、俺が心操に洗脳されて嫉妬してるだけですよね』

Aは相澤がそんなことを思っていないのは重々に分かっているが、どうしても相澤の表情を見て言葉を交わしたかったのだ。

相「ちがっ……」

相澤は本意を見抜かれて、どうにも否定しきらずに黙ってしまう。

実況席からずっと見ていたAの勇士は、まさにプロならではの姿であり副担任ならではの配慮だった。

そんなことは相澤だって分かっていた。

相澤はおつかれの一言でも言ってやろうと、Aが来るまでは思っていたのだ。

『騎馬戦で心操と二人だけでチームを組んで、洗脳まで許したのを全部最初から見られてるのも分かってて、
俺が先輩の嫉妬に気付かないわけがないですよ
それに…包帯で顔が見えなくとも、そんな"物欲しげな目"をしていてはバレバレです』

Aは、相澤の包帯だらけの顔を両手で優しく包んで妖美な笑みを浮かべる。