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F ページ9

【先程はどうも♪マイコです。監督から連絡先頂きました〜。この後仕事なんでしたっけ?その後お時間あればお食事どうですかあ?】


既読は付けずに楽屋に戻ると舞祭組の4人だけが残ってた。


「ガヤさん大丈夫だった〜?さっきの人。」


空気を察してかみやが声をかけてきた。


「大丈夫だよ、次のドラマの相手役の子。監督から伝言あったみたい。」


小さく笑えば、よかったあ〜!と愛嬌のある笑顔で返された。

「よーし、じゃあそろそろ俺らも帰るかー!みや焼肉行くぞー!」

とニカの言葉にみやと健永が帰っていった。


「太輔、さっきの子厄介な噂聞くから気をつけなよ?」


二人きりになった瞬間口を開いた渉。


「厄介な噂?」


「色んな人に告白しまくってるって。写真撮られて脅されるみたい。」


「そうなんだ、大丈夫だと思うよ。」



「ミツ、心配そうにしてたよ。傷つけちゃだめだぞー。寂しがり屋なんだから。」


「わかってるよ。ありがとう、わた。じゃ俺も次の仕事行くわ。」


「いってらっしゃい」


一緒に楽屋を出て別れると先ほどの彼女からの連絡を開き返信を返す。

【すみません、明日も朝からなので。】


すぐにつく既読


【◯◯で、待ってますから。】


断りすらできない誘い。行かなければどうなるのかわからない。


ソロの仕事中も、集中することができずに終わりの時間が来る。


「◯◯までお願いします。」


さすがにマネージャーに送ってもらうのも悪いと思いタクシーを捕まえては彼女に指定された場所へ向かう。


【悪い、今日帰るの少し遅くなりそう】


北山に連絡を入れてみるも、既読はついたまま返事が返ってこなかった。



指定された店につき案内されたのはもちろん個室。


「あ、やっぱり来てくれたんですね♪」


小さく頭を下げ向かい側に座ると「何か注文しますか?」と問いかけられ店員さんを呼ぶ。


「ウーロン茶で。」


「えー、お酒飲まないんですかあ?」


「すみません、明日も仕事なので。」


その後は少し料理を頼み意外にも他愛のない会話をするだけでお開きになった。


「では、また明日♪今日はとても楽しかったです、もっと好きになっちゃいましたあ〜!」


彼女が乗ったタクシーを見送り、自分のタクシーを捕まえる気にもならず夜の空気にあたる。面倒くさ、と口に出した言葉は誰にも届くことなく消えてしまう。

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作者名:妖狐 | 作成日時:2019年11月2日 5時

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