イケメンは恋愛対象外です。～fourth～【ＳＳ】【ＯＳ】 (ページ22)

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「Aは薫のことが大好きだったから、俺が薫の代わりになったら傷も癒えると思った。だから俺はあれから１７年間、ずっと“薫”として接してきた。」

････じゃあ。

私は本当に薫ちゃんの代わりじゃなかったんだ。

代わりだったのは智で、

それも、私のために。

「････もう分かると思うけど、俺がAに「可愛い」とか「好き」とか言ってたのも、本心じゃない」

『･･････は、』

「今日までずっと俺は薫だったんだから、あれは「薫の言葉」だよ。手を繋いでたのも、Aを守りたいって言ってたのも、全部」

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿息を忘れてしまうほど、その言葉は鋭くて。

翔くんに「さようなら」って言われたあの時と同じくらい痛い。

ずっと、大切に思ってたのは私だけだったの？

隣にいてほしいって願ってたのは私だけ？

本当はこんな関係、止めたかった？

「･･････高校生になるまでは、本心じゃないと思ってた」

『････え？』

智の目はいつもと全然違っていて、

きっとこれが、本当の“大野智”なんだろうなって何となく思った。

「Aと大喧嘩した時、あそこで薫なら「Aがそう言うなら悲しいけど離れよう」ってなるはずなんだ。だから俺もそうした。このままAと仲直りできなくても、薫なら自分から謝ったりしないだろうからもういいかなって。･････でも、苦しかった」

ぎゅっと拳を握りしめる。

「Aと話せないことが嫌だと思った。このまま離れるかもしれないって思うと涙が溢れそうになった。･････初めて、自分の意志で仲直りしたいって思った」

『智････』

「だから下駄箱でずっと待ってたら、Aが謝ってきてくれて･･･「智と一緒にいれなくなるほうが嫌だ」って言ってくれて、すごく幸せだったよ」

『･････』

「それからかな、たまに“薫として”じゃなくて“俺として”接するようになったのは」

あの仲直りの時に、いつもよりぶっきらぼうな口調だなって違和感を覚えてた。

あれは、薫ちゃんの言葉じゃなかったんだ。

智の、本心。

「だけど････翔くんと出会ってからは、ずっと薫として接してた」

『え、』

「Aも翔くんのこと好きみたいだったから、邪魔しないようにと思って。きっと“俺”じゃ祝福できないけど、“薫”ならAの幸せを願えるだろうから」