〜１８１〜 ページ37
だけど佐倉ちゃんはそんな私の考えを読んだのか、
ぐっと拳を握った。
「このままじゃ、変われないままですよ」
『？どういうこと････？』
「だって今、大沢さんも大野さんも、櫻井さんも前に進めてないじゃないですか」
「････････」
「何が幸せかなんて人それぞれだし、それに対して文句を言うつもりはないです。でも、自分の気持ちを殺したり我慢させたりして成立する幸せなんて、そんなのあっていいわけがありません。大沢さんだって本当は櫻井さんのこと、」
佐倉ちゃんが言い終える前に、視界に黒い物体がすごい勢いで目の前に現れた。
それと同時に聞こえた、衝撃音。
しばらくしてからその黒い物体が“足”だと気付いた。
『･･････智････？』
智の、足。
「･････大野、さん････」
「俺、昨日言ったよな？これ以上余計なことはするなって」
「････････」
昨日って････
私が風邪で寝込んでた時？
「俺のこと好きでいるのも止めろって言ったはずなんだけど」
「私が誰のこと好きだろうと私の勝手じゃないですか」
「好きでいられると迷惑。何があっても応えられないし、みっともない嫉妬でこういうことされると不快なの。分かる？」
智にしては言い方がキツイ。
しかも声もドス効いてて怖いし････。
“あの子に････いつの間にか、惹かれてた”
あの言葉が嘘だったんじゃないかってくらい冷たい。
だけど佐倉ちゃんは智から目を逸らさなかった。
「嫉妬でこういうことしてるわけじゃありません。櫻井さんは交流がないからともかく････私は、大沢さんのことも大野さんのことも大好きなんです。だからこそ、二人には幸せになってほしいんです」
「昨日も聞いたよ、それ。俺は断ったよな？もう今更何を、」
「大野さん！！」
佐倉ちゃんの拳が智の胸を思いっきり叩いた。
その反動で智は一歩下がった。
「･･･････誰が幸せになったの」
「････は？」
「教えてよ。誰が幸せになったの？」
「････････」
智は答えない。
「今更だっていいじゃない。形がどれだけ歪だっていいじゃない！その人にとっての幸せを作り出せば！」
「っだから！それだったら、」
「大野さんの幸せって、本当にこれなんですか！？」
「････え･･･」
「大沢さんに自分の心を殺させることでしか成り立たない････そんな幸せが、あなたの求めてた幸せですか？」
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nao(プロフ) - 主人公も智君も最低ですね。翔くんと別れてほしいです。 (2020年3月31日 12時) (
レス) id: 3ab06130a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかづち
| 作成日時：2020年3月30日 22時
