不思議な力と魚達【Fischer's】

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〜ンダホside〜


Aのために、クレーンゲームでとってきたぬいぐるみ。


普通に買ってくるのは、らしくない気がして、近くのゲーセンで。


Aのことをずっと考えていたからなのか、一発でとれた時はビックリした。


そのぬいぐるみを抱いて暗い顔をするAを見ると、どうしようもなく胸が締め付けられる。


それを渡して少しの間は、今より良い表情だったが、すぐに笑顔は消えてしまった。


ﾍﾟｹ「A、これ聴いてみる？」


優しく笑ったぺけが音楽プレイヤーとイヤホンをAに見せる。


ぺけは今日ここへ来るつもりはなかったが、Aのことを聞いて、すぐ来てくれた。


息を切らして来た時は、Aを本当に大切に思ってるんだなぁ、って思った。


皆、Aのことをすごく大切に思ってるし、俺も一緒。


頷いたAは、ゆっくりとイヤホンをつける。


皆の声も聞こえるように、片方だけ。


驚くほど静かな部屋で耳をすませてみると、つけていないもう片方のイヤホンから、小さく音が聴こえる。


しばらくすると、Aは静かに涙を溢した。


ﾍﾟｹ「Aっ…ごめん、大丈夫…？」


申し訳ないといった表情で、ぺけはAの涙を優しく拭う。


こんな状況で、ぺけカッコいいことするなぁ、と考えてしまう俺。


小さく首を横に振って、Aは嗚咽を漏らす。


俺ら全員がそれに反応し、駆け寄って、皆でAを抱きしめた。


ｼﾙｸ「…もう抑えんな。」


ﾏｻｲ「思いっきり吐き出せ、全部。」


ﾓﾄｷ「泣きたいだけ泣いて？」


両手で顔を隠すAに温かく言葉をかける。


Aが泣き止むまで、皆でずっと寄り添っていた。


指の間から少しだけ見えたAの目が、青っぽく見えたのはなぜか、俺には分からなかった。

　

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