1話 ページ2
キーンコーンカーンコーン…
チャイムの音が授業の終わりを告げる。
机に突っ伏していた私はゆっくりと起き上がって背伸びをした。
目の前の黒板と自分のノートを見比べる。
眠気に抗えなくなってしまった私のノートは、最初の5分の板書から文字が途絶え、後はミミズが這ったような字が続いていた。
「A、また寝てたでしょ。」
「野薔薇〜おはよお。」
眠くてぼんやりとした目を擦って、親友の言葉に返事をすれば、親友＿野薔薇は呆れたように溜息をついた。
「何やってんのよ。来週考査なのに。」
「だって眠いんだもん。体育後の現代文だよ？寝ろって言ってるようなもんじゃん。」
そう言ってまたダラリと机に突っ伏して脱力すれば、ホウキの柄で頭を小突かれた。痛い。
ムッとして顔を上げれば、掃除だから早く机を後ろに下げろ、と怒られた。
「今日もバイトなんでしょ？早く行けよ。」
「あ〜めんどくさい〜行きたくない〜やだ〜」
「考査が終わったら原宿でショッピング。」
「はい行きますすぐに行きますお金沢山稼ぐぞ！」
野薔薇の言葉に脱力していた体は一気に本来の力を取り戻した。
シャンと背筋を伸ばし机を運び重たい鞄を持って教室の出口へと向かう。
あまりの変わりように野薔薇は呆気に取られてるけど、そんなに驚かなくてもいいじゃないか。
私だって華のJK。原宿ショッピングのためならどんな出費も痛くないし、その出費を稼ぐためのどんな重労働だって苦じゃない。
「考査最終日の放課後原宿だかんね！絶対だよ野薔薇！」
「ハイハイ。」
「ハイは1回！…じゃ、私バイト行ってくるね〜。野薔薇は掃除当番と部活ガンバ！」
ヒラリと手を振って、バイト先への道を急ぐ。
途中、走るなーと担任に叱られたけど、原宿ショッピングが楽しみすぎてそれどころでは無いので無視した。
校門を出て、信号を右折し、曲がり角を突っ切って
片道10分の道を全力疾走して3分で着いた私は、お店の暖簾を潜った。
看板には「寿司屋 出前有」と達筆な白文字で大きく書かれている。
近場の出前のバイトの中でもかなり時給が良かったので、最近また新たに追加したバイトだ。
他にもコンビニやカラオケ、新聞配達などなど…
五個以上はかけ持ちしている。
よーっし！頑張ってお金稼いで、野薔薇との原宿ショッピング楽しむぞ〜！！！
心の中でグッと気合を入れて、私はエプロンに腕を通した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 116人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
或 - 更新止まっちゃってる感じですかね…待ってます(泣) (2021年3月29日 23時) (
レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - 続き楽しみです！ (2021年3月10日 21時) (レス) id: f345edd9e1 (このIDを非表示/違反報告)
或 - この作品の夏油さんに沼りました！更新楽しみにしてます！！！ (2021年2月27日 20時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
蛹(プロフ) - 緑の白猫さん» コメントありがとうございます！頭が切れて策士で、人畜無害な笑顔で着々と夢主の外堀から埋めていく夏油傑大好きなんですよ〜！！！ぜひぜひ嵌ってください (2021年2月27日 16時) (レス) id: 3eead30ed0 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - やっべぇこの作品の夏油さんに嵌まりそう。てか嵌まらせて下さい← (2021年2月27日 10時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蛹 | 作成日時：2021年2月15日 22時
