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どこにいても・不死川実弥 ページ14

「実弥、実弥。好きだよ」


「…なんだよォ。急に」


実弥が非番の日は必ず私を屋敷に呼んでくれる。
ふたりで日の当たる縁側に座る時間が好き。


「思っただけ〜〜」


「…そうかよォ」


ただの近所の娘っ子の私と
毎日命をかけて戦う実弥。

まだ実弥が"柱"っていうお偉いさんになる前に私たちは出会った。


「初めて出会った時、実弥怖かったなぁ」


「悪かったって」


匡近の知り合いだった私に匡近は実弥を紹介してくれたんだけど…すごく睨まれた。


「あの匡近と友達だとは思えなかったわ」


「てめェはいつまでその話する気だァ」


実弥。
匡近が亡くなってから変わってしまった。

だけどいつも私の前では変わらないでいてくれた。


…だけど。


「実弥。私に言いたいことがあるんでしょ?」


私はこれでもあなたと恋仲になった女だよ。
分からないわけないよ。


「…バレてんのかよ」


「ねえ、言ってよ」


そう言って実弥の顔をじっと見る。

すっと頰に手が伸びてきて優しい接吻が落ちた。
柔らかくて暖かい。


「ん…実弥?」


顔が離れて目を開けるとすぐ俯いた実弥。


「どうしたの?」


顔を覗き込む。


「…ッなんでもねェ」


「言ってくれなきゃ分かんないよ…」


そう私の言葉を聞いて実弥は
重たい口を開いた。


「お前と別れる」


「え?」


別れる?別れるって?


「俺はお前を幸せにしてやれねェよ」


「どうしてそんなこと言うの」


私のこと好きじゃないの?
さっきの接吻は何?

色々な感情が流れてきて焦ってる。


「そもそも俺がァ…Aと同じ陽に当たるのが間違いだったんだァ」


「違う。そんなことない!」


嫌だ。行かないで。


「もう帰れェ、二度と来るな」


「やだ!いや、実弥」


ボロボロと流れる涙を拭ってくれる優しい実弥はもういないの?


「…ごめんなァ」


どうして辛そうなの?


「…実弥っ」


どうして苦しそうにするの?


「忘れろ」


そう言った実弥の手が私の首に当たって私は意識を失った。

最後に見た実弥の顔は苦しそうだった。

ごめん、愛してるよ。
どこにいても。





end.

生きてね・嘴平伊之助→←聴こえてる・我妻善逸



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美桜 - 話好きです。続けて下さい。更新頑張って下さい。 (2019年3月2日 20時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
ファルル(プロフ) - 竈門炭治郎ですよ!門が抜けています (2018年8月8日 0時) (レス) id: 75508b9973 (このIDを非表示/違反報告)
たごちゃん(プロフ) - 涙が止まらないです。切なくて。すごく心動かされました。ありがとうございます。 (2018年7月7日 0時) (レス) id: dffad2ad26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:enen♪ | 作成日時:2017年7月20日 17時

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