熊岸 No side ページ1
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アシㇼパは家を飛び出し
再び小熊の檻の前へ向かった
アシㇼパ「こんな粗末なものを食べさせて...」
バッ!!
アシㇼパ「!?」
余りにも酷い扱いに心を痛めていると
アシㇼパは口を塞がれ、そのままどこかへ連れていかれた
アシㇼパ「うーッ!!」
??「その子はどうしたんだ?」
エクロㇰの弟「この子...見張っててくださいね?」
エクロㇰの弟「熊岸さん」
エクロㇰの弟は熊岸という男にアシㇼパを任せると
ふたりを残して家から出て行った
アシㇼパ「なんでアイヌのふりをしている?」
熊岸「どうして分かったんだ?」
アシㇼパ「ムㇱオンカミだ。」
アシㇼパ「ムㇱオンカミとは蝿のようにせかせか早く手を動かす無作法な
アシㇼパ「それをあいつら...分かってなかった...」
熊岸はアシㇼパの言葉に息を飲んだ
アシㇼパ「私がわざと鉢巻をつけたまま挨拶の場にいても誰も注意してこなかった。」
アシㇼパ「オリに入ってるヒグマだってそうだ、あんな粗末なゴミを食べさせて...」
アシㇼパ「私たちは育てているヒグマに自分たちと同等か上等な食べ物を与える。」
アシㇼパ「カムイの世界に送ったら私たちのコタンが良い所と伝えてもらうために...」
アシㇼパ「いつまでも熊送りの儀式を出来ず、手を付けられなくなったんだろう。」
アシㇼパ「アイヌのふりしてここで何をしている?」
アシㇼパが熊岸に問うと
熊岸が咄嗟にアシㇼパの口を塞いだ
アシㇼパ「んッ!!」
熊岸「静かに!!」
熊岸「そんな話聞かれたら子供だろうと殺されてしまうよ。」
熊岸はあたりを見渡し
誰もいないことを確認してから口を開いた
熊岸「私が去年の春、ここへ連れてこられてから旅人が何人かこの村を訪れたが全員殺された。」
熊岸「油断させて酒を飲ませて寝込みを襲うんだ。」
熊岸「奴らは樺戸監獄を集団脱獄してきた囚人たちで、アイヌの村を乗っ取り潜伏しているからだ。」
熊岸「正確に言うとある男によって脱獄させられた。」
熊岸「男は政府のお偉いさんになりすまし、樺戸監獄に現れ内部から脱獄の手引きをした。」
熊岸「樺戸の雑居房には火災時を考えて一度に全ての錠が開く装置が付いている。」
熊岸「それを開けた。」
熊岸「大失態をおかした典獄は...今頃クビになってるだろう。」
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作者名：檜枝 | 作成日時：2020年4月22日 1時
