「俺たちのヒーローアカデミア」8

第357話 ページ29

(※火災事故を思い起こさせる表現があります。)



＊ ＊ ＊








『･･････』



水無月の目は、大きな崩壊音のあった後ろに向く






そして映った光景＿＿

轟々と燃え盛る 壁、床、天井、家具家電、崩落した天井。









『････････』









"【おかあさん･････どこ･･･？】"









『･････････』









"【おかあさん】"









『･･･──お･･････かあ････さ･･･』





尋常ではない汗を流し、体を震わせ始めた。

水無月の脳内に、何度も･･･何度もリピート再生される おぞましい光景









燃え盛る部屋の中を＿＿

お母さん、お母さんと泣きながら歩く









·









＿＿＿幼い少女の姿。









·









＿＿プッチン



「おい何やってんだ！！火災現場のド真ん中で足を止めるヤツがあるか！？おい！聞いてんのかオ･･･──イ･･･！」




HUCの子供は、水無月の行動を激しく咎め 怒鳴ったが、見上げて見えた水無月の顔を見て やめた。






『･･････あ･･･ぁ･･･』






彼女の瞳が、あまりに酷く怯え 震えていたから



まるで、なにか別の･･･──大きなナニカに怯えているような。









▽




一方。

轟は、水無月のいる3階まで辿り着いた所だった。水無月をココまで案内した男子と合流し、彼女のいる部屋まで案内させた





(アイツ･･･一人で乗り込んだのかよっ！！)





パキパキパキッ＿＿！！

轟は辺り一面を凍らした。火の手が激しく、さすがに全部は無理だが、通れるくらいには火をおさえられた







(A･･･！！)









「ここ！この部屋だ！！」



男子生徒が指さした部屋が見えると、轟は走る速度を速めた。既にブチ壊されていた玄関から、部屋に飛び込む轟




「･･･！」

目の前に広がる光景に、思わず目を剥いた









HUCであろう男の子の隣で


水無月は、力無く その場に膝をつき･･･──燃え盛る炎と、崩れゆく部屋を 茫然と眺めいた。









「Aッ！！？」







『･･････』








「チッ」

「え、水無月の奴･･･何やってんだ？」



「子供の方は頼んだ･･･っ！！煙が濃い･･･速く」

「あっ･･･あぁ！」






轟は、一緒にいた男子生徒にHUCの少年を託すと

口元を腕でしっかり塞ぎながら、部屋の中へと足を踏み入れた

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