第608話 ページ2
11月も下旬に差し掛かる頃。
『は？明日？』
水無月は誰かと電話しているようだった。A組寮棟の外、使い慣れたスマホを耳に当て、通話相手の言葉に眉を顰めた
[ああ、時間を空けられるのは明日の昼から]
電話口の向こうから聞こえるのは、淡白で冷たい男の声
『バッカじゃないの。普通に学校なんだけど』
こちらもなかなか負けてない。冷たく侮蔑の籠った声だ
[そのくらい公欠取れよ。うちの病院は常に忙しいんだ
本来なら来月まで待ってもらう所だが、優先的に診てやれるのも、お前がこの"水無月病院"の資本である水無月家･･･その本家大元の一人娘だからなんだぞ]
『･･････』
こちらの予定など一切お構い無し。無関心なのだろうか。水無月は静かにギリッと奥歯を噛み締めていた
[･･･これでもお前の為に、わざわざ非番返上で検査してやるんだ。感謝しろ。じゃあな]
ツー･･･ツー･･･。
その無機質な音で、向こうから電話を切られたのだと判断した水無月。今すぐスマホを地面に叩きつけたい衝動を何とか抑え、代わりに大きな舌打ちで紛らわした
『こっちだって･･･本当ならお断りなんだよ。お前らの力なんて死んでも借りたくなかったのに･･･ッ』
既に苛立ちが限界突破しそうな勢いの水無月。彼女の足は、相澤もいる教師寮へと向かっていた。今日は、緑谷 切島 蛙吹 麗日ともに呼び出しを受けていたのだ。理由はまだ聞かされていない
水無月も、緑谷達と一緒に教師寮へ向かうハズだったが、この電話の為に あとから向かう事になったのだ
『全く･･･何っ回電話をかけても繋がらず、ようやく折り返しが かかってきたと思えばコレか･･･』
周りに人がいないのを良い事に、水無月はブツブツと不平不満を口にし続ける
『あー、ムカつく。今からでも断ってやろうかしら』
普段とは違う大きな足音からは、彼女の苛立ち度が聞いて取れるようだ
『･･･あーでも、そんな事したら轟がうるさいしな･･･』
少し足の歩幅が小さくなる
『(けど正直･･･目を治す事より、あんな家に頼る事の方が嫌でしょうがない)』
割合で言うと、7:3である
「7」･･･水無月家嫌い。頼りたくない
「3」･･･心配してくれる轟達への良心
『･･･もう面倒くさいわ。やっぱり水無月病院に頼るのは
･･･？』
教師寮へ着くと、玄関先で相澤と緑谷達が話をしていた。傍には通形と天喰もいる
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綾林檎 - つゆりさん» 嬉しいコメントをありがとうございます！続編でも、どうぞよろしくお願い致します (2022年12月6日 19時) (
レス) id: ed59487077 (このIDを非表示/違反報告)
綾林檎 - 瑠璃さん» コメントありがとうございます！良いコンビですよね (2022年12月6日 19時) (レス) id: ed59487077 (このIDを非表示/違反報告)
綾林檎 - 脳筋(笑)さん» コメントありがとうございます！続編でもよろしくお願い致します (2022年12月6日 19時) (レス) id: ed59487077 (このIDを非表示/違反報告)
つゆり(プロフ) - 更新ありがとうございます！初期づきちゃんと初期ろきくんのくだり面白かったです！続編でも強くて可愛い水無月ちゃんを応援させていただきます！！！ (2022年12月1日 18時) (レス) @page50 id: 15b7003481 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！水無月ちゃんと天喰先輩の組み合わせ大好きです！！ (2022年11月29日 22時) (レス) @page39 id: 995eaca907 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾林檎 | 作成日時：2022年9月6日 0時
