事務員さんの彼女。２ (ページ9)

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32話ページ9

了「あははありがとう
モモのしたたかなところは好きだよ。
今度改めて話をしよう。
モモの好きな肉をたくさん焼いてあげる。
牛の舌に、あばら肉に、筋繊維と脂肪が織をなす
背中のかたまり肉を。よだれが溢れそうだろう?
お楽しみに。バイバイ、またね」

去って行く了の背中を見ながら

百「......。
...タンとカルビと霜降りサーロインって言えよ...
食う気失せるじゃんか...」

千は星影芸能の関係者と話していた。

「千くん、紹介するよ。
『Mission』にも出演予定の棗巳波くんだ」

巳波「千さん、お会いできて光栄です。
よろしくお願いします」

千「どうも」

巳波「はは... 噂通りの人ですね
独特の雰囲気があって、ミステリアスで無口だ」

千「意外とひょうきんなんだけどね」

巳波「ご自分で仰るなんて面白い方ですね。
私も占いが得意という、ひょうきんな特技が
あるんですよ」

千「へえ...」

巳波「千さんのように、
左目に泣きぼくろのある男性は...
異性を惑わすが、恋愛には受け身。
情が深く、移り気で気まぐれ。
不特定多数との子孫繁栄が約束されています」

千「アイドルとして、
約束されちゃいけないものが約束されてるな」

巳波「古代中国の皇帝には向いていますね
今後のライフプランの参考になさってください」

「天才子役で有名だった棗くんが
留学から戻ってから、最初の出演映画だ。
『Mission』の大ヒットは間違いないよ」

千「へえ」

巳波「子役で活動していたのは昔の話です
一から出直す気持ちで頑張りますよ」

「ここのところ、うちは若手に弱かったからね
棗くんにかけてるんだ。
千くんの方からもよろしく頼むよ。
志津雄さんに、君も随分世話になっただろう?
Re:valeは外様とはいえ、
うちの一員みたいなものだと思ってるよ」

千「ああそう」

「ちゃんと話聞いてる?
...どこ見てるんだ?」

千「胸糞悪い派手な男」

「は?...いいかい、千くん。
千葉サロンのことは棗くんも知ってる。
『Mission』では例の息子さんと
うまくやってくれないか」

千「......。
...彼は暴露したりしないよ。
むしろ、暴露されることに怯えている」

星影芸能の関係者は口に指をあて
これ以上はここで話すのはまずいと合図した。

巳波は千に留学先はどこだったのか聞かれて
『ノースメイア』だと答えた。

十は壮五に家族との話し合いをしてみてはどうかと
持ちかけるが、遠慮しますと断られていた。