ご先祖様がついてくる【鬼滅の刃】

#41　子孫の女*ネタバレ ページ41

黒死牟サイド


『参ります』


そう言って日輪刀を構えると私に向けて技を放つ子孫。

その腕捌きは縁壱と似ていた。

額の痣も縁壱と同じだが位置が鏡のように反対。

髪型もあの憎い顔つきも全て似ている。

それに使う技が日の呼吸。

縁壱から型を伝授されたことは容易に理解できる。

だけど一つ違うのが、耳飾りをつけてないこと。


黒死牟「月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮」

『日の呼吸──幻日虹』


なんと。残像を捉えてしまうとは。

振り向くと己の祖父を庇うように立っていた。


「儂に構うな」

『お祖父ちゃん、私に剣術をつけてくれてありがとう』


その顔つきはまさに縁壱に酷似している。


『立派に育ててくれてありがとう』

黒死牟「……懐かしや」


攻撃を放っても女はまるで見えているかのように避けて隙を見て食らいついてくる。

この女には縁壱の姿が見えている。

ということは、縁壱がこの女に教えているのか？

しかし、この速さで的確に私が出す技を教えられる筈がない。

ということは、まさかこの歳で透き通る世界に入れているということだ。


黒死牟「なんと……愉快」


女は何も言わない。

縁壱そっくりな顔つきで私に斬りかかって来る。

着物の裾が切られる。

まずい、朝日が昇ってくる。

戻らねば。


『──兄上』


すると女がようやく喋った。

久方ぶりに呼ばれる言葉に私は女を見た。


『兄上の夢はこの世で一番強い侍になることですか？』


幼き頃、縁壱が初めて放った言葉。


『ならば俺は兄上と同じようになります』

黒死牟「なにを、戯けたことを…」


死んだ今でも人の声を借りてまで、そのようなことをぬかすか。


『兄上、私は兄上が恋しゅうございます……ようやく会えたのに……兄上』


刀を持ち、技を出す。

女の背中を斬りつけることができた。

日の呼吸の使い手は全員殺さねばならぬ。

女は刀の先を地面につけて、尚も直立している。

その姿は直立したまま死んだ縁壱と似ている。

なんということだ。

女は息を切らしながらも私を睨んでいる。

しかし、もう朝日が来る。

殺すには惜しい。

私は女を置いて無限城に戻った。

最後に見た女の姿は地面に倒れていた。

縁壱の残像が見えたのは気のせいだろう。

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