#40 人間だった頃の名前 ページ40
数カ月ぶりに家に帰ってきた。
家の門の前で母が弟を庇うように倒れていた。
『お母さん!!清基(きよもと)!!』
二人の名前を言いながら近づくと、二人は息をしていた。
背中をざっくり切られているが生きている。
母「A……来てくれたのね」
『お母さん、お母さんごめんなさい!今安全な所に』
母「大丈夫よ。それよりお父さんとお祖父様が……」
母は弟を持ち上げてよろけた足で安全な所に移動する。
私が広い庭に行くと、そこには私に背を向けて立つ鬼がいた。
鬼の右側、私の家と隣人との柵には父が倒れていた。
頭を柵に打ち付けて絶命していると瞬時に理解した。
そして鬼の前には倒れた祖父がいる。
『お祖父ちゃん!お父さん!!』
「お前が鬼狩りか……」
そう言ってこちらを向いた鬼には六つの目。
その真ん中の目には【上弦壱】という数字。
左額と右顎首から縁壱さんと似たような痣。
この人が──
縁壱「……兄上」
隣にいた縁壱さんが私の代わりに呟いた。
六つの目を細めて鬼は私を見た。
「名は…何という……」
『……東、A…』
「ふむ……成る程…そうか……年の頃は十六あたりか……」
『よくぞおわかりで、継国巌勝さん』
すると巌勝さんは驚いたようだ。
そりゃあそうか。
人間だった頃の名前を何故知っているって話だよね。
巌勝「何故……知っている…」
『縁壱さんから聞きましたから』
刀を握ろうとした手が震えた。
怖いんだ。
縁壱「恐れるなA……兄上、お久しぶりです」
巌勝「何故……縁壱の名を知っている…」
『私、刀振って気絶したら霊感持ち主になったんですよ。縁壱さんは今、私の隣にいます』
すると巌勝は少し私の隣を見た。
『巌勝さん、貴方には縁壱さんの姿が見えないでしょう。だけど私にははっきりと見えているんです』
巌勝「バカな……」
『縁壱さんの声を代わりに私が言ってもいいのですが、その前に祖父から離れて下さい。命をなんだと思っているんですか』
ぞわぞわと身体中の血が巡るのを感じる。
巌勝「そうか……」
『ふざけるのも大概にして欲しい。何がそんなにおかしいのですか』
巌勝は祖父から少し離れた。
『もっと離れて下さい』
巌勝「お前は……私には勝てぬ…」
『やってみないとわからないでしょう、ご先祖様──参ります』
私は刀を鞘から抜いて祖先に向けて構え、技を出した。
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灰色サーモン - まってwwwよくよく考えたら縁壱さんの顔で夢主がキャラ崩壊してるwww (2020年5月15日 2時) (レス) id: 99f545fffc (このIDを非表示/違反報告)
名無し61903号(プロフ) - よりよりさん» とても綺麗で艶がある髪ですね。それに着物まで考えておられて素晴らしいです。夢主の容姿はそのようなイメージでいいですよ。私は読者の皆様が考える夢主の姿で物語を読んでもらえると嬉しいのです。気に入りましたありがとうございます(人*´∀`)。*゚+ (2020年3月10日 22時) (レス) id: f947700d9f (このIDを非表示/違反報告)
よりより - https://cdn.picrew.me/app/share/202003/15599_3aYynxVu.png Picrewの 馬酔木ヒカルさんの 和装女子メーカーをお借りしました 夢主ちゃんは こんな感じかなと勝手にイメージしてみました お気に召さなかったらすみません。 (2020年3月10日 22時) (レス) id: f27088ec53 (このIDを非表示/違反報告)
海月ひかる(プロフ) - 設定の所に、子孫と書いていますが、遠いなら末裔では?細かくてすみません (2020年3月10日 6時) (レス) id: 490f2474fb (このIDを非表示/違反報告)
わんこ - 緑壱さんが尊い()神作ですね。更新ふぁいとです! (2020年3月1日 15時) (レス) id: e04dff07ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し61903号 | 作成日時:2020年2月22日 13時