ご先祖様がついてくる【鬼滅の刃】

#39　見取り稽古 ページ39

全身の力を使った結果、余計に疲労が溜まったのは言うまでもない。

倒した木に腰掛けて私はそう思った。

そういえば烏はどこに行ったんだ？


縁壱「理解できたか？」

『はい、無駄な動きが多いと言うことがよくわかりました……』


これは鍛えられそうだ。

太陽はまだ昇ってない。

水筒からお茶を飲んだ私は縁壱さんを見る。


縁壱「見取り稽古をさせよう。今から行うことをよく見るんだ」


何を、と言おうとしたら縁壱さんが刀をぬいた。

その刀は赫刀だった。

半透明だし、山の中で暗くてよく見えないがそれは本物の赫刀。

なんだあれは。

縁壱さんが刀を構える。

すると日の呼吸を連発しだした。

思わず息を呑み、目を大きく見開いた。

鬼舞辻無惨を追い込み、その頸を斬りかけたという技。

喉がヒリヒリしてくる。

まるで、蛇に睨まれた蛙の如く。

全ての型を一瞬で終わらした縁壱さんが刀を鞘に納めながら私のところに来る。


縁壱「見たか？」

『……み、見まし、た……ちゃんと、ちゃんと全て見ました』

縁壱「ならいい」


縁壱さんはふっと笑った。


縁壱「大丈夫だ。Aにはできる。ここまで来たのだから」


そういうと私の頭を撫でてくれた。

父親のような、お兄さんのような優しさ。


縁壱「私は浮き立つような気持ちだ」


そう言いながら空を見上げる縁壱さん。

その瞳にはお兄さんが映っているのかな。

呼吸が楽になって来た。

身体の疲労も回復してくる。

縁壱さんみたいに強くなれるかな。

いや、強くなるんだ。

なんの為に今まで剣術の練習をしてきたのだ。

祖父と父を悲しますようなことはするな。

縁壱さんは私の頭から手を離した。

少し頬が高揚する。


『縁壱さん、縁壱さんって──』

烏「カアアァァー！！！！」


いきなり私の鎹烏が凄い速さでやって来た。

何事！？


烏「襲撃！襲撃！」

『まさかお館様が？！それとも──』

烏「東家、襲撃ー！！」


ピタ、と一瞬身体が固まる。

だけどそれを聞くなり私は走り出した。


烏「急ゲェ！！急ゲェ！！！」


烏が急かし立てる。

どうして今なの。どうしてよ！

速く、速く。

私は山を降りて舗装もされてない道を走る。

どうしたら速くつける？

技を出しながら行けばいいのでは？

私は炎の呼吸 奥義 玖ノ型・煉獄と日暈の龍 頭舞いを同時に出した。

轟音と共に走り、素早く斬るような動きを出す。

即興で考えた技だけどアリなのでは？

どうか間に合ってくれ。

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