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「2人とも何やってんの?」
「探し物か?」
医務室で死んだはずの可愛い教え子が生き返り、
最悪だった気分は一変。
どうやって僕を困らせる彼奴らを驚かせてやろう、と
つい悪戯心に火が付いてしまった。
手始めに悠仁の死亡報告の偽装を硝子に頼んでいると、
階段の下で不自然に茂みを覗き込んでは、
頭を悩ませている真希と恵を見付けて声をかけた。
交流会に向けて稽古を付けていると聞いていたが、
怪我をしている様子もない。なぜこんな所にいるんだろう。
「稽古だよ。Aの。」
「ん?今日休みのはずだけど。」
やっと家に帰って来た彼女は昼前まで寝ていた。
今頃は見舞いも終わって当然家に居ると思っていたのに。
「どうせ学長の呼び出しじゃないか?時間外労働はしない人だし、わざわざ自分から来るとは思えない。」
「…だろうね。」
教師になっても、適当で軽い性格は何も変わってない。
面倒事が嫌いで、縛られるのはもっと嫌い。
でもちゃんと生徒想い。ただ黙って見守って、
秤に上の連中が手を出さないよう目を光らせている。
おかげであいつは予想外の速さで、確実に成長している。
そして将来、僕にも劣らないくらいの呪術師になる。
そうじゃないと困るよ。
あの人の教え子なんだから。
「随分変わった稽古だな。」
「団体戦を想定しての鬼ごっこらしいです。俺らが鬼で、逃げてる香月先生を捕まえる。」
「パンダと恵の式神使っても見つからねえ。あと何分だ?」
「20分ちょっとです。」
「時間足らねえよ。くそ。」
いよいよ焦ってきたのか
既に玉犬を使っていた恵が鵺を出し、空からも探させる。
Aさんを取り合っていがみ合ってた僕らが
今は担任と生徒なんて、本当に面白い。
まあ今もこいつは僕が好きではないだろうけど。
「面白そうだね。僕も飛び入り参加しちゃおうかな。」
「やめんか。生徒の邪魔をするな。」
「どうせ捕まえられないさ。今頃暇すぎて飽きてるんじゃない?」
「はあ?じゃあお前はどこにいるか分かるのかよ。」
「当たり前でしょ。何年捕まえ続けてきたと思ってんの。」
「………。」
「なんか腹立つな。…恵!絶対先に見つけるぞ。」
「…もちろんです。」
元気よく走り出して行った2人を見送り、
硝子に軽く小言を言われてから、1人で門の方へ向かった。
何となく、そこいる気がして。
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妃 - すごく素敵な作品でした!個人的にその後の恵を見たいです。続編も楽しく読みます。 (2020年11月27日 20時) (レス) id: edafa70660 (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - 初めまして。昨日の夜からこのシリーズ全て読ませて頂きました、振り回される五条凄く好きです、主人公も好きです…!こちらは完結でしょうか?もし続きあれば楽しみにしています! (2020年11月17日 11時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - とっても面白く、素敵な小説で何回も読み返しています(><)!!アンケートの件ですが「チューベローズの初恋 続」後の9年間のお話を希望します...!!! (2020年10月18日 1時) (レス) id: ff2316c362 (このIDを非表示/違反報告)
SS(プロフ) - 9年後のお話希望です!新しい方のお話とも悩んだのですが、まだチューベローズの五条悟が読みたいです、、! (2020年10月17日 20時) (レス) id: 9f946892a2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆで卵(プロフ) - 度々コメント失礼します!チューベローズの初恋 短編集を読んでみたいです…!!!元許嫁のお話もとても面白そうで悩んでしまいましたが、チューベローズの初恋をもっと読みたいなと思いました。新しい作品も応援してます!! (2020年10月17日 0時) (レス) id: 18a070aa90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縞 | 作成日時:2020年5月23日 12時