チューベローズの恋人【呪術廻戦】

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「任務完了っ―、…じゃないね。まだ。」




ツギハギの呪霊を追って忌庫に着くと
丁度目当ての物を持って出てきたところに対峙する。

予想通り、
狙いは高専内で保管された呪物だったようだ。

すでに忌庫番の2人は改造され、倒れてしまっている。








「早すぎない？俺等よりよっぽどバケモノだよ。」








『…。それ返して素直に謝ったら、優しく祓ってあげる。』

「ッ―！！」








手に呪力を籠め向かってくるツギハギの呪霊を、
触れられる前に術式で弾き飛ばす。
そのまま” 引 ”で地面や建物を抉り、
巻き込みながら呪霊を封じ込めるように圧し潰し、
大きな球体になったソレを宙に浮かせる。

相手の力量も術式も情報が曖昧。
下手に加減したらこっちが殺られる。









『……宿儺の指と、呪胎九相図？どっちも特級呪物だよね。』






引をかける前に取っておいた袋の中身を確認すると、
中身が物騒過ぎて思わず顔を背ける。

死人も出てるし、
おまけに特級呪物まで盗られたら
上の連中に何を言われるか分からない。

ポケットから携帯を取り出し、
伊地知君の着信履歴を探す。
ツギハギの呪霊は封じ込めただけの
簡素な突貫工事みたいなものだし、
本当なら悟か夜蛾学長を呼んで確実に祓いたいが
向こうの状況が分からない。






「香月さん！？今どこに！？」

『忌庫の前。簡単でいいから状況が知りたいんだけど…』






「ッ、団体戦のエリア内に特級呪霊1体と呪詛師2名が侵入したようです。しかしこちらは既に五条さんが…」

『っ！？』







「香月さん？…どうしま―」







「駄目だよ。気を抜いたら。」

『…、っ最悪。』









捕えていた筈の呪霊に
いつの間にか背後をとられ、
鈍い痛みが走った右腕は感覚がなく、思うように動かせない。


落とした携帯は壊されるし、
特級呪物の入った袋も盗られた。
本当に最悪。









「いやービビった。あの数相手にした後にあんなの作るなんて、特級呪術師ってほんとにイカれてる。」

『君もね。抜けられたのは初めて。』






「限界まで体を小さくしたんだよ。マジで死ぬかと思った。」

『…。』








伊地知君への電話で何人かは応援が来るだろう。
それまでどうやって足止めするか。
さっきので呪力はだいぶ消費したし、
あれから抜けられるほど小さくなられると
単純な重力操作はあまり役に立たない。








「じゃ、また会おうね。香月先生。」


『っ！…。』

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