東卍だろうが何だろうが鉄骨娘はひるまない

病院 ページ33

規則的で無機質な音が時計に秒針を刻む音だと気が付くと、奥深くにあった意識が引き戻されていくのを感じた

次に少しツンとする消毒液の匂いが鼻をかすめ、完全に意識が覚醒し、やや重い瞼を持ち上げる

まず目に飛び込んできたのは暗闇
時計を確認するまでもなく今は夜なんだとわかった

そして消毒液の匂いと少し硬い感触がするベッドでここは病院なんだと判断する

「けっこう寝てたのかしらね・・・・もう真っ暗」

自分が出血多量により倒れたのは覚えている
腕に感じる鈍い痛みが今日あったことを鮮明に証明していた

十中八九跡は残るかもなとぼんやり考えながらすっかり固まった体をほぐすために少し伸びをした
そしてまだうまく回らない頭で状況を整理する

自分がこうしてここにいるということはアイツらは警察に捕まらずに逃げ切れたということか


・・・・いや警察から逃げ切れるかの心配するっておかしくないか？追われるようなことをしたなら素直に捕まっとけばいいのでは？


とも思ったがまぁいいかとすぐにこの考えは放り捨てた

それよりももっと重大な問題に気が付いてしまったからだ


「ヒナに連絡いってない・・・わね多分」

基本的に優しいヒナだが武蔵神社の件で怒ると実は怖いのだと知っている
まぁあの時はヒャクパー武道が悪かったわけなのだが

これは判断を遅らせれば遅らせるほど悪い方向に行くし、なにより心配させてしまうだろうということでとりあえずナースコールを押した

すぐに駆けつけてくれた看護師の体調についての質問に答えた後電話を拝借し、覚えたての電話番号をプッシュする

数コールでヒナの母親が出て事情を説明し、今日は帰れないことを伝えた
電話越しでも心配で仕方がなかったというのが伝わり申し訳なさがいっぱいに広がったが、それはほんの数秒で分散していった


『野薔薇ちゃん・・・女の子があんまり危ないことしちゃだめだからね？』

決して声を荒げているわけではないヒナの声は電話越しでも冷や汗をかくほどほどのものだった

わけわからん・・・→←仇

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