東卍だろうが何だろうが鉄骨娘はひるまない

自分が好きだと思えるように ページ31

「そのつもりだったんだよ。長内だけは許せねぇ。だから殺すつもりで刺した
・・・・邪魔してんじゃねぇ」

パーチンをとがめるように声を荒げたドラケンを、自分に任せろと静かに視線を向けた

パトカーのサイレンは徐々に近くなってきている
あまり時間はかけられない
静まり返る倉庫に大きくかん高い音が響き渡る

ジンジンと痛む右手、そして顔を赤くはらしたパーチン
両者に痛みが残るほど強く頬に平手打ちを食らわせた

「他人である私が言っても何の説得力もないけどね、アンタがこのクソ野郎殺したい気持ちはわかる。ぶっちゃけるとそう思えるほど友達大事にしてるってのは嫌いじゃない
でも・・・それが絶対やっちゃいけないってのはミジンコ頭でもわかるだろうが
自分の私情で人殺そうとすんのはこっちでくたばってるクソ野郎と同じくらいクソ野郎に成り下がるってことなんだよ！！！お前の弱い心に負けてんじゃないわよ！！！」

釘崎が声を荒げるのに比例してパーチンのどうしようもない苛立ちも荒立っていく

「んなもんどうでもいんだよ！何に負けようが何だろうが俺のダチ傷付けた奴は容赦しねぇ！！他人であるお前が余計なことして余計な口出ししてんじゃねぇぞ！！」

「あぁそうよ他人よ。昨日チラっと顔見て今日ちょっと話したくらいの他人。だからこそ私は他人にどう思われようが他人の覚悟踏みにじろうが知ったっこっちゃないのよ！私は常に私が私を好きでいられる行動を選ぶ。目の前で友達思って過ち犯そうとしてる人間無視する私なんて好きになれるはずないでしょ！！それが友達のためであれあんなクソ野郎のためにアンタが手汚してどうすんのよ！！」

一気に言葉を吐き出して息が上がる
パーチンが俯いて黙ったことで聞こえるのは自分の安定していない呼吸音だけ

ドラケンもマイキーも、ペーやんも武道もパーチンがどのような選択肢を選ぶのか黙って待っている
やがてパーチンの顔が上がると、その目には少しの涙がにじんでいた

「じゃあ・・・どうすりゃいんだよ・・・ぶち殺せねぇなら・・・どうやって俺のダチの仇打てばいいんだよ・・・！俺はバカだから、わかんねぇよ・・・」

パーチンは答えを欲している。自分を納得させる答えが
友達の仇を殺す以外にどうやってとればいいのか
友達の無念をどう晴らせばいいのか・・・

「・・・それはとっくにアンタの頭がとってくれたでしょうが。」

仇→←止めろ

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