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からころ、ころ
口の中で踊る様に飴玉が回っていく。
広がる爽快なソーダ味に目を細め、私はミケと共に浜辺で海を眺めていた。
時刻はもう午後を回っていて、雨は止んだり降ったりを繰り返す、そんな時間。
鞄の上で眠るミケを撫でながら、ふと、浜辺を道ゆく人々へ目を移した。
「…あ。」
軽く、声が漏れる。
見知った顔に胸の動悸がした。
恐らく、毎日ちいさな会話をする私を彼は覚えているだろう。
見つかったら、連れ戻されるかな。
そんな不安が渦巻いて、頭の中を埋めていく。
自由が失われていく。
彼と目線が絡まった。
「……あれ。」
「…。」
「絵梨、ちゃん…だよね?」
「…こんにちは、沙川さん。」
そう微笑んで、小綺麗な自分を形作る。
しかし、心配そうに此方を見つめている彼の瞳の中に居る自分は、あまりにも醜かった。
(貴方と話す時間はちょっとだけ好きだったのに。)
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作者名:青碧 | 作成日時:2020年9月11日 0時