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ページ8

からころ、ころ

口の中で踊る様に飴玉が回っていく。

広がる爽快なソーダ味に目を細め、私はミケと共に浜辺で海を眺めていた。

時刻はもう午後を回っていて、雨は止んだり降ったりを繰り返す、そんな時間。


鞄の上で眠るミケを撫でながら、ふと、浜辺を道ゆく人々へ目を移した。







「…あ。」






軽く、声が漏れる。

見知った顔に胸の動悸がした。

恐らく、毎日ちいさな会話をする私を彼は覚えているだろう。

見つかったら、連れ戻されるかな。

そんな不安が渦巻いて、頭の中を埋めていく。

自由が失われていく。



彼と目線が絡まった。







「……あれ。」

「…。」

「絵梨、ちゃん…だよね?」

「…こんにちは、沙川さん。」







そう微笑んで、小綺麗な自分を形作る。

しかし、心配そうに此方を見つめている彼の瞳の中に居る自分は、あまりにも醜かった。









(貴方と話す時間はちょっとだけ好きだったのに。)

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作者名:青碧 | 作成日時:2020年9月11日 0時

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