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«岸side»







楽屋に響いたその音にみんなが肩を跳ねらせ、その音を立てた張本人を見る。

「…ちょっと出る」

その張本人である紫耀は近くに居た海人や神に見向きもせず、俺だけを睨みながらそう言う。

「しょ…」

出て行こうとする紫耀を心配そうに追いかけようとした廉を抱き締め、紫耀の元に行かせないようにする。

「優太…?」

「何?」

「ううん…何でも、ない…」

廉はそう言って楽屋のドアをチラッと見た後、スマホに目線を落とした。

紫耀は数分経っても来ることはなく、雑誌撮影が始まるとスタッフさんから声がかかった。

「紫耀、どこ行ったんだろう…」

「なんか怒ってたよね?俺達、ちょっとうるさかったかな…」

神と海人はあたふたしながら、自分達が紫耀を怒らせたと思っているらしい。

怒らせたのは、俺なんだけどね。

「俺、様子見に行ってくる!」

「あ…廉!?」

廉が楽屋のドアを開けた、ちょうどその時だった。

「あでっ!」

何かがぶつかる鈍い音がしたと同時に、額を抑えてしゃがみ込んだ紫耀が廊下に居た。

「廉…お前、勢い良すぎ…」

「ごめん!まさか居るとは思わんくて…大丈夫…?」

「大丈夫大丈夫」

廉の頭を撫でた紫耀は立ち上がり、俺と視線がバッチリ合う。

「撮影、始まるんでしょ?行かないの?」

「紫耀のこと待ってたんだよ」

「そうなの?ごめん」

「全然それは良いんだけど、俺達うるさかったよね?さっき怒ってたでしょ?」

「え?あー…お腹痛かっただけだから、気にしないで。怒ってないよ。神と海人には」

紫耀は2人に向けた視線を再び俺に向けると、ニコリと笑みを浮かべた。

「行こっか。岸くん、さっきからずっと突っ立ってるけど、何?」

「何でもない」

「具合悪いのかと思ったよ」

話してる最中でも向けられる敵意。

紫耀は目を細めて笑うと、踵を返して先を歩き始めた。

「優太、もしかして紫耀と喧嘩中?」

「ううん。何で?」

「紫耀、なんか優太のこと睨んどったし…」

「気のせいじゃね?廉が心配するようなことは何もないよ」

「ならええんやけど…」

紫耀のこういう小さな変化には気付けるのに、恋愛になると本当に鈍感になる廉。

こちら側からしたら、めちゃくちゃもどかしい。

「廉、自信持ちなよ」

「え?何が?」

「いや…」

「変な優太やな」

くすくすと笑う廉に手を伸ばし、鋭く刺さる視線に気付いて伸ばしかけた手を引っ込めた。

・→←センセンフコク(しょうれん←きし)



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設定タグ:King&Prince , しょうれん , 平野紫耀,永瀬廉   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:弥生 | 作成日時:2022年11月13日 12時

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