真実は照らされぼやける。 ページ21
「え、」
「...は?」
黙って全てを知っていたかのように話を聞いていたトントンとグルッペンが初めて声を上げた。背後の2人に顔を向けると、Aはしてやったとでも言うように満足げに笑う。
「...まぁ、実際の紙はこっち。2週間の停学です」
停学処分と書かれた紙をレナに出した。
予想外の反応に、チーノも声を上げる。
「...退学処分なんてそんなもん、いつ用意したんや」
「昨日の放課後だよ。いろいろと、ね。」
退学にする気だった校長を説得した代わりに、こういう脅しをする約束を取りつけた。
そんな事情を言えるはずもなく、Aはレナをまっすぐと見つめてまた口を開く。周りの生徒会役員は気が抜けたかのように呆然としていた。無理もない。唯一信用していた彼女まで自分の思っていた異性と変わりなかったのだから。
「そんな悪い子じゃない、最初からいじめる意図はなかった。ちゃんと知ってるから大丈夫だよ。」
慌てて道を誤っただけ。仕方ない。そういうこともある。でも、人を傷つけることは良くないの。2週間の停学の後かえでちゃんにきちんと謝って、もうこんなことは二度としないようにするんだよ。色々思うことはあるだろうし、今日はもう帰ろう。
Aはそう告げると、チーノは待ってましたとでも言うようにレナに自身の鞄を持たせ、靴箱まで着いていくために生徒会室を出た。
未だ放心状態の生徒会役員をAが一瞥すると、不意に後ろから声がかかった。
「A、」
「トントン?どうしたの?」
「その紙に全部この後のこと書かれとるんやろ。」
Aの手に握られた紙を凝視しながらトントンはそう言った。見透かされていたことにAは少々驚くが、仮にも幼馴染みだ。このあとすることもきっとバレている。
「...そんな計画的なことはせんでええ。言いたいように言え。俺が責任は取るしな」
「でも、」
「その方がこいつらのためにもなるし、俺からの頼みや。」
トントンのあまりにも真剣な視線に、Aは思わずくすりと笑った。あんなにも小さい頃は泣き虫だった彼が、そんなことを言うから。
「じゃ、久しぶりに幼馴染みのお願いごとくらい叶えてやりますかね。」
私はそれに応えるほかに選択肢はないだろう。
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三浦(プロフ) - 凄い良いお話で読んでてうるっときてしまいました…! (2019年4月19日 5時) (レス) id: 49a01b0035 (このIDを非表示/違反報告)
ミズノタニ@wrwrd!煽り組、ら民 - あー、こう言う系好きです。復讐?系 (2019年3月30日 16時) (レス) id: 089aae62ec (このIDを非表示/違反報告)
シュウ - わああ!これ好きです!頑張ってください! (2019年3月30日 12時) (レス) id: d11fb52744 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるす*
作成日時:2019年3月25日 22時