［１０−１０］ ページ40
渡辺side
自覚するとほぼ同時に喉辺りまで異物が上がり、
慌てて口を押えてトイレに駆け込む。
すぐに便座に顔を覗かせると
夕方頃、涼太に食べさせられた飲料ゼリーが
バシャバシャと外へ出ていく。
それでもなかなか収まらなくて、
最近は特に食べていなかったせいで
吐くものもなくてただ背中が波打つだけだった。
「ぅぇ……っ、ぉえ゛！」
嘔吐くだけでも体力は消耗される。
けれど一向に終わりが見えなくて、
代わりというようにボタボタと涙まで流れて。
その時になってようやく閉じ込めていた弱い自分が
溢れるように、何も出てこない喉から零れた。
「はぁっ……っ、ぅ、……っう、ひっ、ぐ、！」
1つの電気も付いていない真っ暗な家の中で。
ただ1人。
過呼吸を起こして、吐いて、泣いて、
一体何がしたいんだろうか。
そんなネガティブな考えが跳ね返すことさえ
出来ない心は虚しくて、しんどくて悲しくて。
堪える間もなく嗚咽が漏れた。
止まらない涙が頬を伝って、首まで落ちていく。
嘔吐くだけの口元は涎が垂れるだけで
便座に体を預けてみっともない姿を晒して。
だけど最終的には
自分がまいた種なんだって思って。
誰に嘆くのも、何に当たるのも全部違うくて。
結局吐き出せない感情は限界を迎えた心には
全部キツくて、色んな弱音が次々と涙に変わり、
嗚咽と共に便器へ流れていった。
「っぉえ、っはぁ、グスッ、はっ、ぅえ、っ」
それから。
その夜はしばらくトイレから離れられず、
戸日野さんのことを思い出しては
拒絶するように吐き続けた。
疲れ果てた体をまたソファーに沈めて
意識を手放したのは、もうカーテンの外が
ほんのりと薄明るくなった頃。
疲れと微睡みに体の痛みが鈍くなってきた頃だった。
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つらら(プロフ) - 春さん» 春さん、コメントありがとうございます！ もう嬉しいお言葉に胸いっぱいです！笑 今はこの作品を完結させることを優先しているのでお時間頂きますが、春さんのお言葉に公開しようかなと甘えて思い始めました！ その時はこの作品共々是非よろしくお願いします！ (2021年3月17日 23時) (
レス) id: d8343dd607 (このIDを非表示/違反報告)
つらら(プロフ) - 青草さん» 青草さん、コメントありがとうございます！ そう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです！ この先の展開もなかなか都合よくいかない地獄ですが、どうぞよろしくお願いします！笑 (2021年3月17日 23時) (レス) id: d8343dd607 (このIDを非表示/違反報告)
春 - このお話大好きです！いつもドキドキしながら読ませて頂いてます！公開未定の作品があるとのことなのですが、もし主様に少しでも公開したいという気持ちがあればぜひ公開してほしいです！主様の作品どれも大好きなので！！次の更新も楽しみにしてます！ (2021年3月15日 8時) (レス) id: dff8a5af6c (このIDを非表示/違反報告)
青草 - 本当にこのシリーズのお話面白いです！10のシリーズは展開でえぇ！？となりました 次の更新楽しみに待ってますね！ (2021年3月10日 17時) (レス) id: 8f7d50177b (このIDを非表示/違反報告)
つらら(プロフ) - 紫夏さん» 紫夏さん、コメントありがとうございます！ 紫夏さんの予想を裏切る形で驚かすことが出来て良かったです！笑 そして身に余るお言葉ありがとうございます。もっと楽しんで頂けるよう頑張っていきますのでよろしくお願いします！ (2021年3月9日 9時) (レス) id: d8343dd607 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つらら
| 作成日時：2021年2月21日 1時
