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小さな古い旅館
あまり客もいなさそうで、最初は少し怖いと思っていた
だけど泊まってみたら、とても快適だった、そんな宿
その旅館を、出発する日がやってきた
朝、私はまた先輩の隣で目を覚ます
「おはよう」
「おはようございます」
「荷物準備できてる？」
「できてます」
「マジか、俺もうちょいかかるから待って」
先輩がバタバタしているのを、ぼんやりと布団から眺める
「……先輩、？」
「んー？」
「最後に…海、見てきてもいいですか、」
先輩が、振り返った
「……大丈夫なん、？」
「最後に、見ておきたくて、」
先輩は、んー、としばらく考えたあと、
「……まあ、気をつけてな」
そう言って、優しく微笑んだ
海は、大きかった。
相変わらず、大きくて、広くて、
私の夏の代名詞と言っていいほど、
たくさんの思い出が、つまっている場所。
そんな砂浜に、1人。
キラキラときらめきながら、迫っては離れていく、波
きれいだね、相変わらず。
心の中で、海に語りかけながら歩く
今日は不思議と、涙が溢れなかった
記憶というのは、時には恐ろしいもので。
なんとなく来たことがあるような気がして、砂浜をどんどん進んでいくと、
夜中に君と星を見た、あのベンチが目の前に現れた。
どうして、よりによって。
そんな風に思いながらも、足はどんどんそっちへと向かって、
複雑な気持ちになりながら、私はそこに、腰を下ろした
夜と朝とでは、景色はかなり違うけど、
思い出はたしかに、そこにあった。
なぜか、そこに座っていると君が近くにいるような気がして、
また、私の前に現れそうな気がして、
思わず周りを見回すけど、
「…………いるわけない、か」
この街に来たら、会える。そう思っていたのに、
現実はそんなに、甘くなかった。
しばらく1人で海を眺めていたけど、
やっぱりだんだんと苦しくなってきてしまう
もう、時間切れ。
私は溢れそうな涙を、ぐっとこらえて、
「ありがとう、」
海に、大きな海に、
記憶の中の君に、
笑いかけた。
大好きだよ。
今も、昔も。
きっと、これから先も。
私は立ち上がって、
先輩の待つ、旅館へと歩き出した。
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zzz(プロフ) - ここまでイッキ見してしまいました。廉先輩の様な厳しくも温かい優しさに触れあえて主人公ちゃんは幸せだよね…。どうか、みんなにとって最高な結末が待っています様に。 (2020年10月14日 19時) (
レス) id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
バカさん(プロフ) - 詩愛さん» 待つだけで涙出てきます (2019年12月23日 21時) (レス) id: dcf79e1d34 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - バカさんさん» ありがとうございます！そんな風に言って頂けてとても嬉しいです…まだまだ泣ける展開がありそうですが、最後までよろしくお願いします^^！ (2019年12月23日 21時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - みるちゃ。さん» いつもありがとうございます！好きだと言っていただけて本当に嬉しいです…これからも素敵なストーリーをお届けしますので、最後までよろしくお願いします^^ (2019年12月23日 21時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - みるちゃ。さん» いつもありがとうございます！好きだと言っていただけて本当に嬉しいです…これからも素敵なストーリーをお届けしますので、最後までよろしくお願いします^^ (2019年12月23日 21時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2019年11月18日 19時
