この夏を永遠に K.T

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時間が止まったのかと思った



静かになった空間、セミの音が大きく聞こえる



遠くで車の音がした







海人くんは私の上にまたがったまま、何もしゃべらない






ねえ、どうして、




そんなかっこいい顔、するの？




たまに君がみせる大人びたその顔が、苦手だ




心が揺さぶられるから。









君の目が私の目をずっと捕まえて離さない




「海人くん、」




どうしたの？そう続けようと思ったのに、




ゆっくりとその顔が近付いてきて、思わず口をつぐむ







そっとなくなっていく距離




君の目だけを見ている私




この後どうなるのか、思考回路が完全に停止して、動けもしない






ギリギリ限界まで近づいた君の鼻が、







私の鼻に、触った。







そこで君も動きを止める






君の目線がゆらりと揺れて、私の首にかかる貝殻のネックレスをとらえて





その指でかちり、とネックレスに触れた後、






君が急に、にっこりと笑った





至近距離でまた私と目を合わせた海人くんは、








「油断したな……！」







そう言ってまた私をくすぐり始めた





「待って海人く、ふふ！」





「またない！！」





いつのまにか君は私の上からいなくなっていて、




また私たちはお互いをくすぐりながらリビングを転がりまわった









「はあ、もう、くすぐったい」




しばらくしてやっとくすぐり攻撃が終わって、息を切らして床に大の字になる私




そんな私の横で、君も楽しそうに息を荒げていた




その横顔は、やっぱりまぶしくて、可愛くて。




思わず手を伸ばして撫でてあげたくなる






海人くんがくるりと寝返りを打って私の方に体を向ける



私も向かい合わせになって、ぱちりと合う視線





やっぱりその髪の毛にどうしても触れたくなって、




手を伸ばして頭を撫でてみた




ゆっくり動く私の手の下で、君は目を閉じて口角を緩める




可愛い。






「……過去の自分ありがとう。まじ最高のご褒美です」




そんな言い回しに、私も思わず口角を緩ませた







そのままそのふわりとした髪の毛に触って、窓からの日差しを浴びていると、



なんとなく今度こそ眠気が私を連れて行こうとする





「………」





そんな私の様子に気がついた君は、





自分からも手を伸ばして、






「Aちゃん、」






なぜか切なそうに私の名前を呼びながら、






私の頰に手を添えた。

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