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『お先に失礼します』
「は〜い、お疲れ様」
退勤の時間になると、私は誰よりも早く会社を出る
理由はうまく説明できないけれど、
あまり、深く人と関わりたくないのかもしれない。
ゴタゴタした人混みに紛れ、駅を目指す
だいぶ履き慣れてきたヒールも、
このくらいの時間になると、まあまあ痛い。
電車に乗り込んで、ドアのすぐ脇にポジションを抑える
そして、何気なく車内を見回してしまう。
これもいつからか、私の習慣になっていた。
岸さんがどこにいるかわからない、ということは、
どこにいてもおかしくない、とも言える気がして
電車に乗るとどうしても、あなたの姿を探してしまう
今更会ってどうしたいとか、よくわからない。
だけど会いたい。本当に、ただ会いたい。
・
電車が、がくんと揺れる
はっとして顔を上げると、見慣れない景色
表示されている駅名を見て、いつのまにか寝過ごしていたことに気がついた
立ったまま寝るとか、疲れてるなぁ、私。
少しばかり苦笑いしながら、ホームに降りようとした途端、
すぐ目の前でドアが閉まる
他の乗客の視線が刺さり、恥ずかしかった
仕方ない、次の駅で降りよう。
そう思って路線図を確認すると、
通っていた大学の、すぐ近くまで来ていることに気がついた
…………大学、か。
流れていく景色を眺めながら、
あの頃の思い出がまた、私の頭の中を駆け巡る
岸さんだけじゃなくて、海人と永瀬さんも
今頃、どうしてるのかな。
初めてクラウンを訪れた日も、
そこで勉強した日も、ケーキを食べた日も、
恋に、気がついた瞬間も。
どれも忘れられないくらい大切で、
どれも泣きたくなるほど、恋しい。
ふと気がつけば私は、
4年間通った大学の最寄駅に、降り立っていた。
指先が震える、足が勝手に歩き出す
改札を抜け、階段を降り、商店街に差し掛かった
懐かしい景色が、目に沁みる
今でもそこに、クラウンはあるのかな
永瀬さんはまだ、あそこで働いているのかな
クラウンに行ってどうするか、なんて、
そんなの何のプランもない。
ただなぜか急に、行きたくなった
私たちが居たあの空間に、戻りたくなった
鼓動が、速くなる
早歩きで息を切らしながら、
クラウンに続く最後の曲がり角を、
勢い良く、曲がった。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» いつもありがとうございます。いろいろな見方をしてくださっていて本当に嬉しいです…！恋っていいですよね、本当に。最終章も何卒よろしくお願いいたします♡ (2022年6月12日 14時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんにちは。第３章完結、お疲れさまでした。廉くんの一心な思いを受け入れてほしい！と思いつつ、岸君への感情をもち続ける主人公ちゃんの一途さにも心打たれたりして。恋する気持ちって甘酸っぱくてやっぱりいいな。最終章も楽しみにしてます。 (2022年6月5日 16時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - 詩愛さん» もちろん読まさせてもらいます！💕最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を見届けます♡ (2022年6月3日 17時) (レス) id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - 伶奈さん» コメントありがとうございます！いつも楽しみにしていてくださっているみたいで本当に嬉しいです…！最終章、公開いたしましたので是非読みにいらしてください♡ (2022年6月3日 13時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - このお話めっちゃ好きで続きが毎回気になるところで切られてて早く見たいってずっと思ってます！！次が最終章なのがちょっと寂しいですが最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を全力で応援したいと思います💕 (2022年5月26日 0時) (レス) @page50 id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2022年4月13日 19時
