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すぐには、その言葉の意味が理解できない
うろたえる私を、永瀬さんはただ見ている
『………、岸さんが辞める、ってそんなこと、』
「マジで辞めたで、あの人は。」
彼の冷たい視線が降り注ぎ、
私は思わず、目を逸らした。
だって、岸さんが居ないなんて。
彼がここに居ないなんて、
じゃあ、どこにいるって言うの。
その時また、思い知る
私はあなたのこと。岸さんのことを、
まだ何ひとつ、知らなかったんだ、って。
『………永瀬さん、』
震える声で、最後の希望をつかもうと、
彼の名前を呼んだ。
うん、と頷く永瀬さん
『………岸さんのお家、わかりますか。』
だってもう、それしかない。
あなたからの連絡も返ってこないし、ここにだって居ない
それなら、私からあなたに会いに行くしかないと、
そう、思ったから。
だけど、永瀬さんは
私をただただ、見下ろしているだけ。
私の方はどうしても、あなたの行方を知りたくて
すがるような思いで、彼に一歩近付いた
『、永瀬さんお願いします。知ってるなら、岸さんのお家を教えてください、』
「………、」
『、永瀬さん、』
一瞬、彼の瞳がゆらりと動く
ふとそのまま逸らされた視線に、息が詰まる
「…………Aさん、ほんまにすまん。」
『………、』
「俺も、岸さんのプライベートなことは全然知らんくて、」
『………、じゃあ、岸さんは今、』
苦しい、聴きたくない
だけど、それが現実なら
『…………今、どこにいるかわからないんですか、』
それを無理矢理、飲み干すことしかできない。
こくりと頷く、目の前の人。
ケータイをもう一度見ても、あなたは既読すらつけていない。
あなたが居ない
それは残酷で、受け入れがたくて、
少しも予想していなくて、
そして何よりも、1番恐れていた未来だった。
「Aさん、岸さんからその話されてなかったん？」
『………、何も聴いてなかった、です』
「はぁ………、そっか、」
呆然とする私の頭上に、永瀬さんのため息が漂う
カウンターの裏、あなたの姿はない
あの苦いコーヒーの香りも、今ではあまりしない
そのすべての要素をかき集めて、やっと理解する
そうか。あなたは、
あなたはもう、私に会う気はないんだ、って。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» いつもありがとうございます。いろいろな見方をしてくださっていて本当に嬉しいです…！恋っていいですよね、本当に。最終章も何卒よろしくお願いいたします♡ (2022年6月12日 14時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんにちは。第３章完結、お疲れさまでした。廉くんの一心な思いを受け入れてほしい！と思いつつ、岸君への感情をもち続ける主人公ちゃんの一途さにも心打たれたりして。恋する気持ちって甘酸っぱくてやっぱりいいな。最終章も楽しみにしてます。 (2022年6月5日 16時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - 詩愛さん» もちろん読まさせてもらいます！💕最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を見届けます♡ (2022年6月3日 17時) (レス) id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - 伶奈さん» コメントありがとうございます！いつも楽しみにしていてくださっているみたいで本当に嬉しいです…！最終章、公開いたしましたので是非読みにいらしてください♡ (2022年6月3日 13時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
伶奈(プロフ) - このお話めっちゃ好きで続きが毎回気になるところで切られてて早く見たいってずっと思ってます！！次が最終章なのがちょっと寂しいですが最後まで岸さんと主人公ちゃんの恋を全力で応援したいと思います💕 (2022年5月26日 0時) (レス) @page50 id: 7a01d9d841 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2022年4月13日 19時
