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その日から、私は廉さんと一切会わなくなった。
大人に見られている時間がとても増えた上に、
病院を去る支度に、忙しくなってしまったから。
私の転院が、決まったのだ。
詳しい理由は、また聴かせてもらえなかった
だけどきっと、廉さんとのこともかなり関係しているんだと思う
いつも優しく、私を心配してくれていたひとりの看護師が、
私と廉さんのあの日のことについて、少しだけ話をしてくれた
話によると、廉さんが倒れ、続けて私が気を失ったあと、
たまたま中庭を通りかかった看護師が、私たちを見つけてくれたらしい
「よかったです、ふたりとも無事で。」
その看護師はある日、そんな言葉をこぼした
見上げると、柔らかい瞳の色
なんだか泣いてしまいそうになる
「………じゃあ廉さんも、元気なんですか、」
「うん、元気ですよ。Aさんと一緒ですぐに目を覚ましたから、心配しなくて大丈夫」
その看護師と、ふたりきりの部屋
廉さんのことを話せるのはきっと、
今の私には、この人しかいないのだろう。
「………廉さんが元気なら、いいんです、よかった」
「そう、だからAさんも！新しい病院でも明るくいてくださいね」
新しい、病院。
その言葉が重く響いて、すっと心の奥が冷たくなる
わかってた、わかってたんだ
いつまでもここに、ふたりでいられるわけがない、って
廉さんには別の世界があって、私にももしかしたらあって。
いつか離れ離れになる、って。わかってたけど、
だけどまだ、
「………廉さんに、会いたい、」
こんな風に、終わらせたくない
さようなら、って。今までありがとう、って。
せめてそれだけでも、伝えたいのに
会えなくなってしまうような、気がしていた
ここを出てしまえば、もう二度と。
「ん？ごめんなさい、何か言いましたか？」
「………なんでもないです、独り言、」
看護師が聞き返してきて、急いで首を横に振る
ぼんやりと見上げた窓の外
空は今日も真っ青に晴れていて、やるせなさが溢れてしまう
「転院なさるその日まで、いろいろお手伝いしますからね。」
「ありがとうございます、」
小さな、希望があるようで、まったくない会話
その時、開いていたドアの向こう側に、するりと影が通り、
あの懐かしい君の香りが、
部屋にこっそりと、滑り込んできた。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» こんばんは！お久しぶりです！また読んでいただけて嬉しいですありがとうございます^^ 少しずつですがお話をまだまだ書いていますので、楽しんでいただけたら幸いです。こちらこそいつもありがとうございます！ (2021年10月30日 23時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんばんは。大変ご無沙汰しておりましたが、詩愛さんの作品の香りを嗅ぎ付けてやって来てしまいました( ￣▽￣)まずは第一章お疲れさまでした。これから先の展開もドキドキさせていただきますね。いつもありがとう。 (2021年10月29日 19時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ひだかくんさん» いつもありがとうございます！いろいろ気になることがたくさんありますよね……ぜひ今後の展開にも期待してくださいね。ありがとうございます、無理せず更新いたします！ (2021年8月4日 23時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
ひだかくん(プロフ) - 高評価が一回しか押せないのがすごく悔しいです(ToT)廉君と主人公ちゃんがこれからどうなっていくのかなとか、きちんと思い出せるのかなとかめっちゃ気になります笑 作者さんも無理のないようにしてくださいね！ (2021年8月3日 23時) (レス) id: 10f3d7dc91 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ミツキさん» ありがとうございます！まだまだ先は長いので、今後もどうぞよろしくお願いいたします！ (2021年7月26日 15時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年7月24日 16時
