63 ページ14
・
受験勉強も大詰め、また冬がやってくる
私たちは会ったり会わなかったり、
それぞれの目標に向かって努力を続けていた。
そしてクリスマスの日。
図書室で勉強をした後、街に出るとイルミネーションが綺麗で
去年のクリスマス、ふたりで過ごした時間を思い出した。
最近、行けていなかったけど、
今日はなんだか、あのベンチに行きたい。
強くそう思って、私は駅に向かって駆け出した。
公園について、ベンチへと向かう
きらきらと幻想的に光る木々の間、せっせと足を進めていくと、
「……海人、」
「おかえり、A。」
ベンチの前、君が大きく手を広げて、
私に向かって、微笑んでいた。
「ほら、はやく来てよ。」
じっと見つめたままの私に、ちょっとだけ不服そうな君
イルミネーションの光が、目に染みた
「今日、クリスマスだね、」
「そうだよ。だからAもここ来たんでしょ？」
やっと一歩君へと近付く私
勉強の疲れとか、プレッシャーとか。
すべてがどうでもよくなるくらい、
君の笑顔が、優しくて。
「うん、海人に会えると思ったの」
「クリスマスだからね、大切な人と過ごさなくてどうする！って感じだよ、俺からしたら」
一歩一歩、少しずつ君に近寄って、
きらめく小さな光たちの中に、想いが溶け出す
「………ねえ、俺そんなに待ってらんない。」
すると突然、海人はそんなセリフを吐いて、
あっという間に私との距離を詰めると、
「………Aもちゃんと、俺のことぎゅってして？」
私を力一杯、抱きしめた。
分け合った体温、ふわりと香る君の匂い
そっとその背中に腕を回すと、ふふっと海人の笑い声が聴こえる
心臓がどきどきして、海人の鼓動も直接伝わってきて
甘くて、優しくて、
あたたかい、君の腕の中。
「そういえば俺、Aにクリスマスプレゼント持ってきた。」
「え、そうなの？私何も用意してない、」
「いいよ別に、ふたりでわけっこできるから」
わけあえるものって、なんだろう。
少し腕の力を緩めて、海人の顔を見上げたその時、
「A」
至近距離で、君が私を呼ぶ。
交わった視線、そっと壊れていく距離
次の瞬間、
私たちの唇が、重なった。
柔らかくて優しい、まるでひだまりみたいなキスは、
「メリークリスマス。」
大切な君からの、プレゼントだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 428人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩愛(プロフ) - かいとんさん» ありがとうございます！お読み頂けて光栄です！またよろしくお願いいたします^^ (2021年3月19日 15時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
かいとん - 完結おめでとうございます！凄く暖かくわくわくする物語でした。高橋担なので需要しかないお話でした……！これからも頑張ってください！ (2021年3月18日 23時) (レス) id: fb912074b2 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ひまわりさん» お久しぶりです〜！お読み頂いてこちらこそありがとうございました！あまり出来に自信がないのですが、そう言って頂けて嬉しいですT_T 今後もどうぞよろしくお願いいたします！ありがとうございました！ (2021年3月12日 17時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり(プロフ) - 詩愛さんお久しぶりです！以前リクエストさせて頂いた歌を基に物語を書いてくださってありがとうございます！！とっても嬉しいです！また海人くんの物語楽しみにしています！ (2021年3月12日 1時) (レス) id: 1474a1813f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2021年3月2日 14時
