106 ページ8
・
その後も続く沈黙は、苦しくて、つらくて。
お互い無言で、交わす言葉も見つからない
紫耀くん、君はどうして、
今日私に、電話してきたの？
私が誰と付き合っていたって、君には関係ないはずだし、
私が誰を好きでいたって、それも君には関係ないはずだよ。
それなのに、どうしてこんなに、
私の心を、揺さぶるの。
「…………紫耀くん、」
「うん」
「電話してきたのって、それが知りたかっただけ？」
「…………」
答えない君の考えていることが、
もう私には、わからないよ。
「………どうだろうね」
数秒後、また曖昧な返事で私を惑わす君。
「どうだろう、って、」
「俺も、よくわかんない。」
「なにそれ、」
君の本当の気持ちは、
君ですら、わかっていないのかもしれない。
「………ごめん、切るわ。」
また少し続いた沈黙の後、
紫耀くんは余裕がなさそうにそう呟いて、
「おやすみ。」
「ねえ、紫耀くん、」
私の呼びかけを無視して、
一方的に、電話を切った。
電話を切った後、部屋に残ったのは孤独だけ。
君の声を聞く直前まで、少しばかりふわふわしていた私の気持ちは、
見上げた窓の外の空のように、
もう、真っ暗だった。
すべてが、すべてがこじれてしまって、
私たちの関係は、これからどうなってしまうのか。
そんなことを考えるほどに、その夜はつらく、寂しかった。
ふと無意識に手に取ったケータイの画面には、
君に動画を送ろうと開いていたカメラロールが、そのまま映っていて。
画面の中で眩しく笑う君が、
痛いほどに、愛おしい。
消そうと思ってた。
消せると思ってた。
だけど、やっぱり私は君との大切な思い出を、
君の撮った動画を、捨ててしまうなんて、
できそうに、なかった。
「…………本当、馬鹿だな、」
ひとりで呟いた冬の夜
すべては、自分の浅はかで、未熟な考え方のせい。
紫耀くんは、
廉は、はなみちゃんは、
今、何を想っているのだろうか。
この冬休みが終わって、また私たちが顔を合わせるその時が、
怖くて怖くて、しょうがなかった。
それでも時間は流れて、きっと。
何も解決しないまま、新学期が、始まってしまうのだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1480人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩愛(プロフ) - kaiさん» わ〜嬉しいですありがとうございますT_T 引き続きよろしくお願いいたしますね^^ (2020年6月14日 21時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - かなこさん» こちらこそありがとうございます！引き続きよろしくお願いいたします、頑張りますね！^^ (2020年6月14日 21時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - さくらえびさん» いつもありがとうございます！嬉しいです……引き続きよろしくお願いいたします^^ (2020年6月14日 21時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - はるさん» かわいいですか！よかった！ありがとうございます、引き続きよろしくお願いいたします^^ (2020年6月14日 21時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - 夜木さん» こちらこそありがとうございます！！引き続きよろしくお願いいたします！^^ (2020年6月14日 21時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2020年5月29日 20時
