蒼く、染まれ Y.J（２） (ページ27)

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「神宮寺くん、あれ、」

その蒼いギターを指差すと、君もそっちを振り返った

「あのギター、どうかな」

「めっちゃ綺麗じゃん、色」

2人で近寄るともっと美しく見える、その蒼

まるで君のような、清々しい色だった。

「………弾いてみたいな、」

君が小さく呟いて、そのギターに触れる

すると、ちょうど店員さんが私たちのところへやってきた

「それ、素敵な色ですよね」

にこにこと、若い男の店員さんは微笑む

「限定色で、結構質もいいんですよ」

店員さんはふわりとそのギターを持ち上げると、神宮寺くんに差し出した

「ちょっと、弾いてみますか？」

途端に、君の目が輝く

「え、いいんですか？」

「ぜひぜひ」

神宮寺くんはギターを受け取ると、近くにあった椅子に座った

蒼色のギターを抱えた君

あまりにその色が、君にぴったりで

思わず、胸が高鳴る

君はギターをまじまじと見つめた後、

一瞬、私をちらりと見上げた

聴いてるよ。ちゃんと。

そんな気持ちを込めてうなずいた私を見て、

君がそっと優しく、弦をはじいた。

綺麗な音が、神宮寺くんの指から奏でられる

君は最初、驚いたように目を見開くと、

そのまま、メロディーを続けて弾いた

綺麗だった。

ギターの音色が、君の性格と、音楽と、

ぴったりと合っている。そんな気がした

ゆっくりとつむがれるその旋律に、思わず聴き惚れる

私はやっぱり、君の音楽が好きだ。

ワンフレーズが終わって、ギターの音が小さく消えていくと、

神宮寺くんは私を見上げた

「この楽器、すごいよ、」

「なんだろう、お客さんとすごい合ってます」

店員さんも私と同じ意見みたいで、

少し驚いたように、君を見ている

「かなり、相性がいいみたいですね」

「ほんとですか？」

店員さんの言葉に、嬉しそうな君

「私も、すごいぴったりだと思う」

「まじか。Aちゃんもそう思う？」

こくりとうなずく私を見て、君はやっぱり嬉しそう。

「一応、他のも見ていいですか？」

神宮寺くんは一度そのギターを店員さんに返した

「もちろんです」

「ありがとうございます」

他のを見る、と言いつつも

君は、元の場所に戻される蒼いギターを、

ずっと、その目で追っていた