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しばらく、あの頃に戻ったような気がして、
その横顔を、見つめていた。
私は本当に、君が好きだったよ。
ふと、神宮寺くんが演奏をやめる
ハッとした私は、そっとドアに手をかけて部屋に入った
「神宮寺くん」
「あ、A」
こちらを振り返った君は、あの時の記憶よりやっぱり大人びていて、
時の流れを、感じてしまう
「食べ物、ちゃんと持ってきたよ」
「うわ、ありがとう」
レジ袋を持ち上げた私に、神宮寺くんは微笑む
「寒かったよね？鼻が赤くなっちゃってる」
そう言って少し近付く君に、今日はなんだかどきどきしてしまって、
「だ、大丈夫。ほら、食べよう？」
私は一歩後ずさると、君から逃げるように少し離れた床に座った
「………もうちょっとこっち来てよ、」
神宮寺くんはそんな私を見て、切なそうに呟くけど、
「お腹空いちゃったから私のも買ったの。ほら、」
私は無視して、袋をあさる
「………じゃ、俺がそっちいく」
そんな言葉が聞こえた次の瞬間、
目の前に座り込んだ君
「………2人きり、なのに。離れて食べるのは変じゃん、普通に」
神宮寺くんの言葉に、なんとなくやっぱり、今日はどきどきする。
「………食べよっか、お腹減ったよ」
「あ、うん、そうだね、」
君が差し出す手に、さっき買った期間限定のお茶を渡した
「あ、俺これ好きなんだよね」
途端に嬉しそうな顔をする神宮寺くんを見て、思わず、
「知ってる」
そんなことを言ってしまう。
君が一瞬動きを止めて、
「………おぼえててくれてたの、ありがとう」
そう言って私を見つめるから、
私は何も、言えなかった。
「うわ〜、美味しいよこのおにぎり」
「本当？よかった」
しばらく話をすれば、いつもの友達のような雰囲気に戻った私たち
「遅くまでお疲れ様。練習」
「ありがとう。こうやって来てもらえるとすっごい嬉しいよ」
その言葉、私にしか言わないでほしいな。
「お〜、これやっぱうまいね」
お茶を幸せそうに飲む君の姿を見ていると、私まで心があたたまった
会話が途切れて、ふと見回した室内
目に入った君のギターは、
「………まだ、このギター使ってたんだ、」
「………もちろんだよ、そんなの」
すっきりと綺麗な、蒼色だった
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作者名：詩愛
| 作成日時：2020年2月19日 15時
