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丁寧に脱いだ靴をそろえると、君は振り返って私と目を合わせた
「………え、っと、」
「……じゃあ、私の部屋、案内するね」
「あ、うん、」
なんだか緊張してうまく話せない。
階段を上がる時に、後ろから君の足音が聞こえるだけで、心臓がどくどくうるさかった
「ここが、私の部屋」
君はパチパチと瞬きをして、私についてくるように部屋に足を踏み入れる
「……ここ、座ってね」
クッションを一枚、床に置くと神宮寺くんはぎくしゃくとその上に座った
「……なんか、悪いことしてる気分。女の子の部屋に、入っちゃうなんてさ、」
あまり周りを見ないようにしているけど、本当は興味がありそうな神宮寺くん
「……そんなに緊張しないでよ、」
「……ああ、うん。ごめんね？」
そこで一瞬だけ目が合う
「………」
「………」
微妙な緊張感が私たちを包む
どうしよう。
神宮寺くんをちらりと見るとその首には、
ここに来る途中に音楽を聴いていたのか、イヤホンがぶらさがっていた
「……ね、神宮寺くん、」
「……ん？」
突然話しかけられて、びっくりしたように肩を震わせる君
「どんな曲、聴くの？」
「え？……あ、俺？」
ちょっとだけ慌てる神宮寺くんに、笑ってしまった
「うん、イヤホンしてたみたいだったから。おすすめの歌手、教えてよ」
「あ、うん、いいよ」
そこから君は、私にたくさん好きな音楽の話をしてくれた
だんだんといつもの雰囲気になっていく私たち
「……で、この人はとにかくライブがすごくて、」
「うんうん」
「映像あるんだけど、みる？」
「え、みたい！」
「ちょっと待ってね」
そう言うと君は、私とぎゅっと距離を詰めて横に座った
思わず神宮寺くんを見ると、
「みえるかな、ちょっと画面ちっちゃいけど」
画面を見つめるその横顔から、目が離せなくなる
「あ、ほらみて。ここの歌い方が、さ…、」
ふと、至近距離で交わる視線
君がゆっくり、瞬きをする
どうしようもなく胸がどきどきして、
次の瞬間、ふいに君の唇が、近くなる
「……神宮寺くん、」
思わず、少し後ずさると、
「っ、………ごめん、」
はっと動きを止めた君は、小さく謝って、
「………この人も、おすすめだよ、」
ケータイの画面に、視線を戻した
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作者名：詩愛
| 作成日時：2020年2月19日 15時
