61 ページ12
・
思えば君は、2回だけ私の家に来たことがあった
ーーーーー
「それじゃ、今日もよろしく」
「わかりました」
先生からまたたくさんのプリントを受け取って、いつものように机をくっつける私たち
「なんかもう、この雑用感にも慣れてきたよね」
神宮寺くんが苦笑いをする
「そうだね」
私がうなずくと君と目があって、どちらからともなく微笑んだ
作業を進めていく途中、
「………ねえ、あのさ、」
神宮寺くんが、小さな声で私を呼ぶ
「ん？」
ふと見上げた向かい側の君の顔は、少し緊張していた
目が合って数秒、君がゆっくり口を開いて、
「………またどっかさ、出かけようよ」
まっすぐに、私を誘った。
「どうかな？嫌だったら無理しないで欲しいんだけど、俺的にはこの前のイベント、楽しかったから」
首を傾げて、私の返答を待つ神宮寺くんに、
どうしようもないくらい、愛しさが溢れ出す
やっぱり私、君のこと、好きみたい。
「………私も、楽しかったから…ぜひ。私でよければ」
小さく呟かれた私の言葉を聞いて、
すぐにほっとしたように微笑んだ君は、
「Aちゃんがいいから、誘ったんだよ」
そう言いながら、嬉しそうだった。
「どこ行きたい？Aちゃんにあわせたいな」
眩しい笑顔で話を進める神宮寺くんに、
「ん〜、どこがいいかな」
私まで、笑顔になった。
私たちは神宮寺くんおすすめのお店に、ご飯を食べにいくことにした、
のに、
「ごめんね、神宮寺くん」
出かける当日の朝、君に連絡をする私
「んー？どした？」
すぐに返ってくる返事に、どうしても胸が締め付けられる
「今朝になって急に留守番頼まれちゃって、出かけられなくなっちゃった、ごめん」
打ちながら泣きそうになる
すごく、楽しみだったのに。
「まじか」
君から送られてきた3文字に
うん、ごめんね。そう打とうとした時、お母さんが部屋に入ってきた
「A、もしあれだったらお友達呼んで家で遊んでてもいいわよ。荷物を受け取ってほしいだけだから」
「………え、いいの？」
「もちろん」
お母さんが部屋から出るとすぐに、画面に目を戻す
「別の日にする？」
君のそんなメッセージを無視して、私は震える指で君を誘った
「私の家、来ない？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 447人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2020年2月19日 15時
